野球のぼせもんBACK NUMBER
「開幕投手もあるのでは?」に困惑顔…40歳になったソフトバンク和田毅が“新球”に取り組んでいる
posted2021/02/25 17:03
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Naoya Sanuki
ホークスの和田毅が2月21日の誕生日で、とうとう40歳になった。
「40歳になっても現役。それはプロになったとき目標にしていたことです。でも、まさか今、こうやって40歳の誕生日をプロ野球のキャンプで迎えられるとは。若い時に一生懸命やってきたのもあるけど、周りの方々の支えや家族の存在、いろんな助けがあったおかげです」
年齢を重ねるのは生き物の常だ。肉体はピークを越えれば衰えていく。ベテランはそれを磨き続けた技術でカバーし、やがて技巧派へと転身していくものだ。
しかし、和田の投げるストレートは今もなお、力を増し続けている。早稲田大学のエース時代もダイエーホークスに入団して新人王に輝いた頃も「130キロ台の直球を速く見せる」のがウリだったはずなのに、昨シーズンは最速146キロをマークしてみせた。
ここ数年で一番明るい
そして、今春の宮崎キャンプ。和田の表情はここ数年で一番明るい。
キャンプ初日から「去年より体の状態は良い」と自賛。特にストレートに手ごたえを感じていた。
自己流調整が認められており、フリー打撃にもシート打撃にも登板をせずにブルペンで地固めをしてから臨んだ2月19日の紅白戦が、今年初めての実戦マウンドだった。白組で先発して初回1番の牧原大成への初球、球場スコアボードには140キロが掲示された。2番の三森大貴は外角いっぱいの直球で見逃し三振。二回には松田宣浩からもストレートで空振り三振を奪った。この日の最速は141キロを計測して、2回2安打無失点。上々の結果である。
「昨年(の同時期)は140キロも出ていなかったと思うし、制球もすごく悪かった。すごく良い状態で投げられました」
ダグアウトの裏側では周りのチームメイトやスタッフが微笑んでしまうほど、和田は大喜びをしていたという。
工藤監督「和田君の軸足の音を聞いている」
工藤公康監督も和田の好調ぶりを感じ取っていた。