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「開幕投手もあるのでは?」に困惑顔…40歳になったソフトバンク和田毅が“新球”に取り組んでいる
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/02/25 17:03
40歳になったソフトバンク和田毅。写真は昨年の日本シリーズ第4戦に先発したときのもの
「カーブが武器になってくれば、もっと楽に試合を運ぶこともできるようになる。若い頃はそれほどカーブを投げていませんでした。特に、2016年に(米球界から)日本に戻ってからですね。日本でもそうですが、アメリカでもカーブを投げるピッチャーってすごく勝っている。良い投手は良いカーブを持っているというのが僕のイメージ。幅が広がるのもそうだけど、やっぱり年齢が上がっていくほどに緩急は大事になる。昔みたいに真っ直ぐだけでは厳しいと思っていました。カーブと言えば工藤監督。監督ともカーブの話は何回もしていますし、以前は王(貞治)会長や杉内(俊哉)にも投げ方のイメージを聞いたことがありました」
あまりの快調ぶりに、この紅白戦登板直後のインタビューでは「開幕投手もあるのでは?」との質問も飛んだ。和田は少し困った表情を浮かべつつ、「それは僕が決めることじゃないですが、先発をやる以上は誰しもが目指している。その中で切磋琢磨できればチームとしてのレベルが上がると思います」ともっともらしい言葉を並べた。
工藤監督の口から「開幕は石川(柊太)」と発表されたのはその日の夕方のことだった。
翌日、和田が声を掛けてきた。
「じつはあの時、僕知ってたんですよ。うわ、なんて答えようかなって困っちゃいましたよ(笑)」
顔をくしゃくしゃにして笑う和田。今年は、本当に明るい。シーズン中もそんな表情が多く見られることを願うばかりだ。
ちなみに、和田もすでにシーズンでの登板日を工藤監督から告げられている。開幕2、3戦目いずれかのマリーンズ戦が有力だ。そこで早速勝利投手になれば、球団では2001年の長冨浩志以来3人目の40代勝利投手となる。