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貧民街育ちの女性柔道家を金メダリストに… ブラジルで指導、藤井裕子監督に感じる“夫婦の新たな形”とは 

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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photograph byAFP/AFLO

posted2021/02/24 17:12

貧民街育ちの女性柔道家を金メダリストに… ブラジルで指導、藤井裕子監督に感じる“夫婦の新たな形”とは<Number Web> photograph by AFP/AFLO

ラファエラ・シルバと藤井裕子監督。厚い信頼関係で結ばれている

――監督就任後の世界選手権で、2018年9月のバクー大会では個人の5位が最高でしたが、2019年9月に日本武道館で行なわれた東京大会では男女混合団体戦で3位になりました。

「バクーでは、試合内容は悪くなかったが結果が伴わなかった。東京では、団体戦で(男子100kg超級の)ラファエル・シウバが手を骨折していながら、必死に頑張ってメダル獲得に貢献してくれた。感動しました」

東京五輪開催が危ぶまれる中で思うこと

――東京五輪は1年延期され、現時点では今年の開催も危ぶまれています。

「昨年の3月中旬以降、選手たちは所属クラブが閉鎖され、基本的に自宅以外では練習ができなくなった。代表チームの合宿や遠征もすべて中止。そのせいで、一時的にモチベーションを落とした選手もいます。

 それでも、代表チームは昨年6月中旬から2カ月半、欧州では感染が比較的抑えられているポルトガルで強化合宿を行ない、その後もほぼ毎月、国内合宿を組んで強化を続けている。

 自分としては、五輪が開催されると信じ、引き続きチーム強化のためにベストを尽くすことだけを考えています」

――東京五輪が開催されれば、指導者として3大会目。所属する代表の自国開催の2大会に続き、今度は自身の母国での大会ということになります。

「不思議な縁だと思います。こんなことになるとは、全く想像していなかったです」

――陽樹さんの支えについて。

「彼には本当に感謝しています。彼のサポートがなければ、私の仕事は絶対に成り立たない。その一方で、彼の教員としてのキャリアを中断させてしまったことについて申し訳ない気持ちもあります」

 ここからは陽樹さんの言葉にも耳を傾けてみよう。

――この言葉を聞いて、陽樹さんは?

「裕子を支えることができて、私としても嬉しいですね」

――“専業主夫”として生活の合間を縫って、複数の媒体でブラジル情報を発信しています。

「自分がブラジルで体験していることを他の日本人に伝えたい、という気持ちからです」

【次ページ】 先進的、理想的な家族のカタチの1つとして

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