2020年M-1・全員インタビューBACK NUMBER
<M-1ウラ話>マヂカルラブリー野田に浮かんだ“見取り図5票”「志らく師匠はなぜオレらに入れてくれたんだろう」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byShigeki Yamamoto
posted2021/02/21 11:04
2020年M-1で優勝したマヂカルラブリーの野田クリスタルと村上
野田 「毒爪」はM-1の決勝でやるには、弱いわけではないんですけど、インパクトがないんですよね。1本目に「つり革」を見せてれば、2本目「毒爪」はありだったかもしれません。
村上 でも「フレンチ」があったので、「毒爪」よりは「フレンチ」かなと。
たった4分で1000万もらえて、保証されるわけですから…
――一度、その芸人のネタに身も心も許すと、もうどんなネタを見てもおもしろくなっちゃうものなんですね。くだらないという意味では、2本目の「つり革」も最高にくだらなくて。審査員のサンドウィッチマンの富澤たけしさんが「転がってて優勝できるんだから、すごいですよね」と発言されていましたが、まさにその言葉がすべてでした。
村上 でも、あれ、ただ寝転がって動いているだけじゃなくて、その動きもよく見ると一つひとつ違うんですよ。
野田 4分間の1秒1秒、すべての動きを確認して、かぶらないようにしてます。たった4分で1000万もらえて、その後の芸人人生も、ある意味、保証されるわけですから。そら、それくらいやるでしょう。
村上 電車の動きとかも想像しながら見たら、もっとおもしろい。ブリッジしてるところなんて、電車の揺れ関係ないじゃん、って。
野田 自分の体、コントロールできてるじゃん、っていう。
村上 けっこう、いろんなものが隠れてるんです。
「人死んでるじゃん」炎上するだろうなというところは変えました
――野田さん、すごく動きやすそうな靴を履いていましたよね。
野田 「つり革」用に、スニーカーの中でいちばん革靴っぽいのを買ったんです。硬い靴であのネタをやると、足音がすごいんですよ。
――「つり革」は準決勝のときとは表現を少し変えているんですよね。電車が止まってから「めちゃくちゃ人死んでるじゃん」というくだりを「倒れてるじゃん」と言い換えたり、竹やりに刺さって終わるところも、電車のドアに挟まって終わるオチに変えていました。
野田 テレビでやったら炎上するだろうなというところは変えました。
村上 大人なので(笑)。
――ただ、終盤、笑いが最高潮に達する、おしっこのシャワーが自分の顔にかかってしまう場面は変えた方がいいかなと思いつつ、押し通したと。