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ヴェルディの“天国と地獄”を知る38歳が10年ぶり帰還 富澤清太郎「本気で勝負に挑まなければ…」
text by
海江田哲朗Tetsuro Kaieda
photograph byTetsuro Kaieda
posted2021/02/21 11:00
今年7月に39歳となる富澤清太郎。“カンペー”の愛称で人気のいぶし銀のMFがヴェルディにどんな化学反応を起こすか
「久しぶりに帰ってきて、思い出さなければいけない部分もあります。ボールをコントロールする際やポジショニングなど、プレーのディテールにどれだけ意識を寄せられるかが重要になる」(富澤)
ピッチであらん限りの闘志を燃やす、負けじ魂はルーキーの頃から変わっていない。永井監督が獲得を切望した理由もそこにある。
昨季のヴェルディは逆転勝ちが一度もなし
昨季、東京Vは逆転勝利が一度もなし。相手に先制を許せばドローに追いつくのが精一杯で、ほとんどが劣勢のまま押し切られていた。「清太郎はメンタル面をはじめ、このチームに欠けているものを持っている」と永井監督は信頼を寄せる。
富澤は外側から見た東京Vについてこう語った。
「ヴェルディを離れている間も、どこかで気になっていましたね。相変わらず、育成組織からすばらしい選手が次から次へと出てくる。巧さだけではなく、ビジョンを描きながらプレーできる選手が増えてきた印象です」
日本屈指の優秀なアカデミーを擁しながら
一方で、日本屈指の優秀なアカデミーを有しながら、今季で13シーズン目のJ2を迎えているのが現状だ。東京Vの強化体制が脆弱なことに加え、近年、国内外において選手の流動性は高まる一途で、若手有望株を主軸に定めるまで留めておけない難しさもある。
「若い選手たちが思い切りプレーできる環境をつくりたい。第一はその環境づくりです。彼らの力をうまく引き出せないとしたら、サポートする僕らの責任。重たいものはベテラン勢が背負って戦う」
富澤が若手のひとりだった当時、ベテランとしてチームを支えていたのが永井監督であり、元日本代表の北澤豪氏(現日本サッカー協会理事、日本障がい者サッカー連盟会長)である。柴崎貴広と並び、チーム最年長の38歳となった富澤は、その頃のふたりの年齢をとうに追い越している。