「どんどん友達が減って、でも」

　ベルトは上福にとって目標ではなく手段だ。上福の最大の目的は「東京女子をもっと世間に広めること」。団体には本当に感謝している、だから恩返しがしたいのだと言う。

「東京ではきったないものたくさん見てきたので。東京女子の先輩たちにはビックリしたんですよ。練習生をデビューさせても、その子がのちのち団体の力になるかどうかは分からない。でもみんな“東京女子に入ってくれてありがとう”って言ってゆきみたいなのにも一から教えてくれる。リストの取り方はこうやるんだよ、ドロップキックはこうだよって。

　ものになるかどうか分かんない人間に時間割いて体力使って、もしかしたらゆきがヘタなせいで自分がケガするかもしれないのに。人の努力を喜んであげるとか、普通できないなって。ゆきは部活の経験もないし、こういう仲間意識は初めてで。もし東京女子プロレスに入らずに結婚して子供ができても、何も伝えられるものがなかったかもしれないです。六本木や西麻布では経験できないことばかり（笑）」

　デビュー時のキャラは“パリピ”。だがプロレスを始めてからは遊びに行く時間がなくなった。女子プロレスの大会は土日の昼開催が多い。週末の夜遅くに飲んでいる場合ではなかったのだ。

「ゆきのフライデーナイトはなくなりました（笑）。誘いを断ってるうちに友だちがどんどん減って、誘われもしなくなって。でもプロレス頑張ってたらまた連絡がくるんですよ。“プロレスなんてやめちゃえば”って言ってた子が“今度、試合見に行きたいんだけど”って。人って必死になってる人間の周りに集まるんだなって、今は思いますね」

「私は客寄せパンダになれれば」

　リング上、あるいは路上プロレスでのクロちゃん（安田大サーカス）との“対戦”も話題になった。上福のことを「ABEMAでクロちゃんにヒザなめられてた女子レスラー」として知った人も多いのではないか。東京女子での試合を見てほしいという気持ちもあるが、クロちゃん込みで覚えられるのもそれはそれで構わないと上福。

「クロちゃんにヒザなめられて、キモいかキモくないかで言ったらキモいけど（笑）。でもそれがきっかけになって“この上福って誰だ”となって東京女子を見て“キラキラした子がいっぱいいるな”って知ってもらえればいいので。プロレスラーでもチャンピオンでもライオンばかりじゃなくて。私は客寄せパンダになれれば」

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