松岡修造のパラリンピック一直線!BACK NUMBER
「昨日までのこともすぐ忘れる」難病発症の経緯さえも忘れちゃう水田光夏に修造が思わずツッコむ
text by
松岡修造Shuzo Matsuoka
photograph byYuki Suenaga
posted2021/03/07 06:01
中2の春に突然発症した水田光夏選手だが、弱音を吐いたことは一度もないという
水田:うーん、なかったんですよね、それは。
松岡:マイナスの方向に行かなかった!? すごいですよ、それは! お母さん、光夏さん強いですね。
母:はい、すごいです。彼女、病気のことで弱音を吐いたことがないんですよ。「なんで私だけ?」というようなことも言われたことがありません。ただ、大好きなダンスができなくなったときには涙を流していましたけどね。
松岡:こういう言い方は変かもしれませんけど、親からすれば感謝というか、救われたという思いがあるんじゃないですか?
母:そうですね。彼女の強さに助けられましたし、私が成長させてもらいましたよね。それまで知らなかった世界を見せてもらってありがたいです。でも普段はこんなこと、本人には言いませんよ。
昨日までのことは過去。全部忘れて今日を生きる
松岡:今、体はどのような状態なんでしょうか?
水田:動かないのは右手の手首から先で、感覚は肘のあたりまでありません。左手の感覚もほとんどなくて握力は右手が0kg、左手が4.5kgです。足も両膝下に麻痺があり足首を思うように動かせません。
松岡:末端から症状が進んでくるんですね。進行を食い止めるリハビリとかトレーニングとかって、ものすごく大変なんじゃないですか?
水田:進行を食い止めるために何かできるわけではないんですよ。
松岡:それなのにものすごく前向きですよね。どうしたらそうなれるんですか? 僕がこれまで話を聞いてきたパラアスリートたちもみなさんポジティブですが、やっぱりどこかで心が折れてどん底まで行って、何かのきっかけがあって変わったという人ばかりです。