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「幸運の蝶」も大坂なおみが大好き? “全豪あるある”な虫の乱入と、ほのぼのかつ策士なアガシの逸話とは 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byHiromasa Mano

posted2021/02/13 17:02

「幸運の蝶」も大坂なおみが大好き? “全豪あるある”な虫の乱入と、ほのぼのかつ策士なアガシの逸話とは<Number Web> photograph by Hiromasa Mano

4回戦進出の大坂なおみ。試合中は“蝶のように”舞ったショットも見せた

ただの邪魔者にするか、ゲストにするかは選手次第

 会場は緑の多いメルボルンパークの中にあり、近くには水量豊かなヤラ川も流れる。前夜のナイターの灯に誘われて潜り込んできた虫が、昼間に這い出てくるのだとか。それをただの邪魔者に終わらせるか、ゲストに持ち上げるかは選手次第だ。

アガシはコオロギを乗せてウロウロ

 やさしいとかむごいとかではなく、それもプレーヤーの技や腕の1つだろう。虫を味方にする選手で思い出すのはアンドレ・アガシである。コートに迷い込んだコオロギをラケットに乗せたまま、あっちにウロウロ、こっちにウロウロして笑いをとり、相手のペースを崩したり、空気を変えてみせたりした。そういう機会を小さなショーにしてしまうアガシは全豪オープンで4回の優勝を誇り、ファンに愛されていた。

これまでの2試合とは大坂の様子が違った

この日の大坂は、蝶の乱入などに頼らなくてもきっと勝ったに違いない。ただ、完勝したこれまでの2試合とようすが違ったことは確かだ。

 チュニジアの女子で唯一のツアープレーヤー、世界ランク30位のジャバーは大坂にとってもっとも仲のいい選手の1人だという26歳だが、その初対決に大坂はスタートから苦戦した。

 まず、ファーストサーブが入らない。コイントスに勝ったジャバーがレシーブを選んだ試合の第1ゲーム、大坂のファーストサーブがようやく入ったのはデュースのあとの7ポイント目。これはエースになったものの、5度のデュースを経てなんとかサービスキープに成功した。

 ジャバーは、大坂が警戒していたドロップショットをこのオープニングゲームから鮮やかに披露。「ジャバーといえばドロップショット」と言われるだけあって、自信あふれる絶妙のタイミングとキレの良さだ。

 ジャバーのプレーの予測の難しさを覚悟していた大坂は、「自分でコントロールができるサーブとリターンに集中しようと思っていた」と言うが、苦しいサービスゲームは続く。第3ゲームは3度のブレークポイントからしのがなくてはならず、キープするのに6度のデュースを要した。

 さらに第5ゲームも3度のデュースを強いられる。それでも我慢のサービスキープをし続けたことで、思いがけずチャンスが訪れた。

【次ページ】 「あんまりいいプレーが」できなくても

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