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完璧な大坂なおみ…ガルシア戦快勝に思い出す“18歳の世界202位時代” ブレーク前の対決から5年で得た強さとは
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2021/02/11 17:01
心身ともに充実。2021年の全豪で大坂なおみが見せる強さには感嘆するばかりだ
ランキングには直接何の影響もない勝利だったが、3カ月後の全豪オープンで予選を突破して本戦でも3回戦に進出する華々しいグランドスラム・デビューを飾る前触れでもあった。そこからの成功と失敗の繰り返しの道のりは、今では多くの人が知るところだろう。
マリーが「ガルシアはいつかNo.1になる」と
ガルシアのほうは2018年に自己最高の4位をマーク。グランドスラムでの活躍が乏しいためにあまり知られていないが、かつて元王者アンディ・マリーが「この子はいつか世界のナンバーワンになるだろう」と称賛した才能の持ち主だ。2011年の全仏オープンにワイルドカードで初出場した当時17歳のガルシアが、2回戦でマリア・シャラポワ相手に大健闘している最中、試合を見ていたマリーがツイッターでそうつぶやいたのだった。
マリーの予言は当たることなく、4位をピークとして今は43位と低迷気味だが、ダブルスでは全仏オープン優勝と元世界2位の実績がある。キックサーブやバックハンドのスライスなどを駆使する技巧派が、危険な相手であることは間違いない。
申し分なかった1回戦よりもさらに完璧
そんなガルシアに対し、大坂は3本のエースを放つ勢いのいい滑り出しを見せた。安定したサービス力に加え、オフシーズンでさらに強化したというリターンからの攻撃力を見せつけて2度のブレークに成功。第1セットを6-2で奪った。
第2セットになると、大坂のショットはさらに深く鋭くコントロールされ、多くのポイントでラリーの主導権を握る。第1セットよりもファーストサーブの確率を上げてきたガルシアだったが、大坂は押しの姿勢一方で第6ゲームでブレークに成功した。
勢いに乗るように次のゲーム、最初のポイントをこの日最速の195キロのサービスエースで奪うと、フォアのウィナーが逆クロスへ、ダウン・ザ・ラインへと炸裂。最後はラブゲーム、そして好調ぶりを象徴するようにサービスエースで締めくくった。
「スイングが予測しにくくて、何をしてくるかわからないタフな相手だったけど、自分のやることに集中した」という結果は、申し分なかった1回戦よりもさらに短い1時間1分での勝利。完璧な内容だった。