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完璧な大坂なおみ…ガルシア戦快勝に思い出す“18歳の世界202位時代” ブレーク前の対決から5年で得た強さとは
posted2021/02/11 17:01
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
大坂なおみの名が、日本ではまだ一部のテニスファンに知られる程度だった2015年の10月、18歳になったばかりの彼女はある特別なトロフィーを手にした。
公式戦ではない。シーズン最終戦の『WTAファイナルズ』に若手の有望選手を4人招いた『ライジングスター招待試合』。前の年にWTAファイナルズの開催地がシンガポールに移されてから、若い有望選手をテニスファンに広く紹介するという目的で2年続けて行われたイベントだ。当時世界ランキング202位だった大坂はこう回想する。
「なんていうか、あんな一流のところに招待されたことはなかったから、私にとってはすごくストレスだったんだけど、ワクワクする経験でもあった。周りにはトップの選手たちがいて、彼女たちがどんなふうにやっているのかを見るのは本当に楽しくて、刺激を受けたわ」
14歳の頃からプロサーキットを戦ってきた大坂だが、もっとも底辺の大会でも優勝したことは一度もなかった。
決勝までは何度か駒を進めたが、優勝には手が届かない。前年の夏にはスタンフォードのプレミア大会で全米オープン・チャンピオンのサマンサ・ストーサーを破ってテニス界では大きな話題になったが、シンガポールで得たトロフィーは、漠然とした<将来性>にお墨付きを得たようなものだったのかもしれない。
世界202位だった大坂が35位ガルシアを撃破
そのエキシビションで、ラウンドロビンで一度敗れながら決勝でリベンジした相手が、当時すでに35位にいた22歳のキャロリン・ガルシア――大坂が昨日、全豪オープンの2回戦で戦った相手だ。
試合形式は通常とは異なりショートセットの3セットマッチだったとはいえ、202位が35位を破ったことは快挙だった。
「キャロリンはもうトップ40の選手で、どうして私なんかがここにいるの? って思ったのをよく覚えてる。場違いにならないようにとにかくがんばろうって感じだった」