SCORE CARDBACK NUMBER
青木宣親が「打撃の天才、サボりの天才」と評した濱田太貴20歳 村上宗隆との最強コンビが神宮に咲くか
posted2021/02/15 06:00
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
KYODO
両雄並び立たずとはよく言ったもので、かつてのONのようにチームのど真ん中で何年も3、4番を打ったコンビが最後まで同じチームで添い遂げたケースはほとんどない。だからこそ、そういう可能性を秘めた若き2人がチームに揃うと、3番にタイムリー、4番にはホームランと、つい夢を見たくなる。
ドラゴンズの根尾昂と石川昂弥がそうだ。ファイターズの清宮幸太郎と野村佑希、マリーンズの藤原恭大と安田尚憲、タイガースの井上広大と佐藤輝明にもその可能性を感じる。そして近未来のスワローズで叶うであろう濱田太貴と村上宗隆の3、4番は、スケール大のコンビだ。
濱田はドラフト4位で明豊高校から入団した、今年でプロ3年目を迎える20歳の外野手だ。高校通算45本のホームランを記録したフルスイングが持ち味の右バッターで、二軍でプレーしていたときの濱田の構えには一学年上の村上を戸田で見たときと同じ、河川敷には似つかわしくない際立ったスケール感があった。
天才はサボり癖があるくらいでちょうどいい
プロに入って2年、濱田の1年目はイースタン・リーグで105試合に出て8本のホームラン、2年目は58試合で11本のホームランを放っている。昨年8月に一軍昇格を果たすと、ジャイアンツの菅野智之からセンター右へプロ初ヒットを記録した。フルスイングのイメージが強い濱田ではあるが、菅野が投じた初球のカットボールに対して一瞬の間を作ってタイミングを合わせ、手首の強さを活かして強く振り抜いた。続く打席ではまたも初球、今度は高めのストレートをセンター前へ弾き返す。この2本のヒットには初球を平然と打って出る肝っ玉の強さと、ホームランを狙うだけではない彼の技術の粋が詰まっていた。
その後の濱田が一軍で打った3本のホームランはどれも滞空時間の長い、高々と舞い上がるレインボー型の弾道だった。つまりはバットにボールを乗せる長距離型と、間を作ってタイミングを合わせる中距離型のテクニックを併せ持っているのだ。さすがは青木宣親から「打撃の天才、サボりの天才」と評されただけのことはある。天才はサボり癖があるくらいでちょうどいい。濱田と村上の3、4番が、神宮でポンポンと花火を打ち上げる光景に、スワローズファンの胸が躍らないはずはない。