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「ボロボロだった」1年前と対照的…大坂なおみ、余裕の全豪初戦突破 他選手の“嫉妬”にも動じなさそうな理由
posted2021/02/08 18:30
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph by
Hiromasa Mano
スタンドに観客がいる。皆、マスク姿ではない。数はまばらだが、ファンの生き生きとした表情が見える光景は新鮮だ。オーストラリアのメルボルンは、いくつかの前哨戦を無事終えてようやく全豪オープンの初日を迎えた。
ファンが戻って来たことを多くの選手が心から歓迎する中、昨年9月に無観客の全米オープンを制した大坂なおみは、メルボルン入りしてからの会見で「ニューヨークで、観客がいないほうが集中できることがわかったの。ファンの前ではがんばりすぎて酷いショットを打っちゃうことがあるから」とまた正直なことを口にしながら、「もちろん観客に見てもらえるほうがいい。ただ、集中するようにしないとね」と続けた。
要はどんな環境にも慣れるのは得意、というふうにも聞こえた。全米オープンのあとに移されたクレーの大会を全て欠場した大坂だが、5カ月ぶりの実戦でも前哨戦から好調だった。準決勝の棄権は右肩のわずかな痛みが原因とのことだったが、全豪オープンのために大事をとったことは明白で、深刻に心配するには及ばない。
世界39位パブリュチェンコワ相手も余裕の初戦突破
2年前に優勝、昨年は3回戦で敗れたロッド・レーバー・アリーナでの1回戦、相手は世界ランク39位のアナスタシア・パブリュチェンコワ。一昨年に大阪で開催された東レパンパシフィック・オープンの決勝で戦った相手であり、今大会のドローで女子のシード勢が1回戦で戦う相手の中では最高ランキングの選手だ。
タフな試合になっても不思議ではなかったが、フォアのウィナーを2本決めて絶好のサービスゲームでスタートした大坂は、そのまま4ゲームを連取。1つブレークを返されたものの、第1セットで奪われたゲームは結局そのゲームだけだった。第2セットも2度のブレークに成功し、自身のサーブはブレークポイントも握られることなく6-1、6-2という余裕の初戦突破となった。
このスコアも1時間8分という試合時間も圧勝を意味しているが、大坂18本、パブリュチェンコワ14本とウィナーを取り合った重量感のあるラリーは見応えもあった。アンフォーストエラーを相手の半分の11本に抑えた大坂の安定感は大きな勝因だっただろう。