テニスPRESSBACK NUMBER
「ボロボロだった」1年前と対照的…大坂なおみ、余裕の全豪初戦突破 他選手の“嫉妬”にも動じなさそうな理由
text by
山口奈緒美Naomi Yamaguchi
photograph byHiromasa Mano
posted2021/02/08 18:30
パブリュチェンコワは初戦の相手とすれば難敵だった。それでも軽やかに勝った大坂なおみに、進化した強さを感じる
昨年ツアーが再開されてから、棄権こそあったが実質負けなしの15連勝。遮るものが見当たらない今、目指すは再びの女王の椅子か。一時は10位まで落ちたランキングは今3位。大坂の上には29歳になったシモナ・ハレプ、そしてコロナ禍で再開されたツアーに参戦しない選択をしていたナンバーワンのアシュリー・バーティがトップにいる。今大会はバーティも復帰し、大坂はランキング通りの第3シードだ。
この立ち位置に居心地の良さを覚えているという大坂は、「今はナンバーワンを必死で追いかけているという感じじゃない。どの試合もできる限りのプレーをしたいというだけ。その結果、もしまた1位になることができるなら喜んで受け入れたい」と語る。
軽やかな初戦勝利のあと、入場したときに着けていた黒いマスクを再び着けてオンコート・インタビューに臨んだ。そこにもう文字は書かれていない。
ニューヨークではBLM運動へ積極的に関わる大坂のマスクがドラマチックなサイドストーリーを紡ぎ、大坂自身もその使命感を力に変えた。だが今は、開放的な南半球でしばし重い荷物を下ろしているようにも見える。
今度は何を力にし、どんなストーリーを見せてくれるのか、期待せずにはいられない開幕戦だった。