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内村航平「五輪が1年延びて一番良かったのは彼」 驚異の18歳、北園丈琉が世界の頂点を目指せるワケ

posted2021/02/08 06:00

 
内村航平「五輪が1年延びて一番良かったのは彼」 驚異の18歳、北園丈琉が世界の頂点を目指せるワケ<Number Web> photograph by AFLO

6種目どれも安定した演技を見せた北園。高校生で五輪出場の夢は叶わなかったが、その急成長に期待は高まる

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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“内村二世”と呼ばれる体操界の逸材が、個人総合で世界のメダルを狙うための臨戦態勢を早くも整えた。

 昨年12月に行なわれた全日本体操選手権で、高校生ながら2位になった北園丈琉(大阪・清風高校3年)が決勝で出した87.598点は、現在の採点ルールになったリオデジャネイロ五輪以降の世界選手権にあてはめると'17年と'18年なら金メダル、'19年なら銀メダルに相当するハイスコアだった。国内に目を向けると、87点台は'18年全日本シニア選手権で内村航平が出した87.750点と、'20年全日本大学選手権で橋本大輝が出した87.450点がある程度。ここ数年、日本勢にとって高いハードルとなっている点数を高校生のうちに超えたのだから期待が膨らむ。

 さらに驚異的なのはその中身だ。どんな名選手も20歳過ぎくらいまでは多少は苦手な種目があるものだが、北園の場合は6種目とも14点台をそろえており、18歳にしてこれといった弱点がない。難度を示すDスコアと出来栄えを示すEスコアのバランスも良く、現時点で世界屈指のオールラウンダーとなっている。

東京、パリはもちろん、ロサンゼルス五輪も

 リオ五輪以降の世界選手権で男子個人総合を制したのは、'17年が肖若騰(中国)、'18年がアルトゥール・ダラロヤン(ロシア)、'19年がニキータ・ナゴルニー(同)。この3人が軸になるであろう東京五輪で表彰台に食い込むには87点台が最低ラインと言えるが、頂点を目指すなら15点台を叩き出せる得意種目が複数必要だ。その点も北園は既に心得ており、「ゆか、鉄棒、平行棒あたりは15点を狙える。15点をいくつか取れたら強いので、そこを目標にしたい」という青写真を描いている。

 北園が中学生だった頃からシニアとジュニアの合同合宿などでアドバイスを買って出るなど目をかけてきた内村は、「五輪が1年延びて一番良かったのが北園なんじゃないか」と急速な成長を認める。今は身も心も東京五輪にまっしぐらの北園だが、パリ五輪はもちろん、その次のロサンゼルス五輪まで視野に入れられる年齢であるのは、日本の体操界にとっても明るい材料だ。

「難度を上げることだけではなく、美しさにもこだわっていきたい」

 体操ニッポンの伝統的な心意気が既に宿っているのも好もしい。

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