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内村航平「これは鉄棒に絞れという運命なのか」個人総合への未練を断ち切れたワケ

posted2020/12/31 17:01

 
内村航平「これは鉄棒に絞れという運命なのか」個人総合への未練を断ち切れたワケ<Number Web> photograph by AFLO

激動の1年を終え、内村は来夏の五輪にしっかりと照準を合わせている

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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 新型コロナウイルス問題に揺さぶられ続けた20年。体操の内村航平にとっては、競技人生で大きな転換を迎えた1年でもあった。

 2020年最後の試合となった全日本体操選手権(12月10~13日、高崎アリーナ)。08年から17年まで男子個人総合10連覇という金字塔を打ち立ててきた内村がこの大会で演技したのは、鉄棒のみだった。

世界選手権種目別鉄棒の最高点を上回る演技

 内村は20年夏、6種目で戦うオールラウンダーから種目別鉄棒に絞って五輪を目指すことを表明した。スペシャリストとしての初陣だった9月の全日本シニア選手権では、初めて構成に組み込んだH難度の「ブレットシュナイダー(コバチ2回ひねり)」でバーに近づきすぎて流れが止まり、14点台前半という低得点にとどまった。しかし、2戦目となった11月の国際大会では課題をしっかりと修正し、12月の全日本選手権では予選で全体トップの15.533点、決勝ではさらに高い15.700点が出る圧巻のパフォーマンスを披露した。

 現行の採点ルールとなった17年以降の世界選手権種目別鉄棒の最高点は18年のエプケ・ゾンダーランド(オランダ)の15.100点。それを大きく上回る、文字通り“金メダル級”の演技で1年を締めくくった。人数制限の中で来場したファンはもちろん、生の演技に飢え乾いていた審判をもうっとりとさせる出来栄えだった。

 これには内村自身も手ごたえを得た様子だった。

「今回の点数は参考にしていないが、やるべきことはできた。離れ技の位置も良く、着地までうまく持っていけた。やっと試合で満足のいく演技ができた」と笑顔を見せた。

 細かいところに目を向ければ、着地などまだまだ修正できると感じている箇所は残っているという。だが、ひとまずは一定ラインを超える演技を見せられた。そう感じているようだった。

【次ページ】 「色々ありすぎて、どれから振り返ればいいのか」

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