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スーパーボウルが野球界で話題に 元ドラフト指名選手はなぜ“野球ではなく”アメフトを選んだのか? 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2021/02/07 11:00

スーパーボウルが野球界で話題に 元ドラフト指名選手はなぜ“野球ではなく”アメフトを選んだのか?<Number Web> photograph by Getty Images

今年のスーパーボウルに出場するトム・ブレイディ(左)とパトリック・マホームズ(右)はどちらもドラフト指名を受けた過去がある

 ブレイディはミシガン大学に進学して、2000年のNFLドラフト6巡目(全体199位)でニューイングランド・ペイトリオッツに入団する。一方のマホームズはテキサス工科大学に進学して、2017年の同ドラフト1巡目(全体10位)指名でチーフスに入団している。

 両選手の指名順位を見れば分かるように、ブレイディはマホームズのような上位指名ではなかったので、同じように期待されていたわけではない。ミシガン大進学後には、ヤンキースから高校卒業時の1988年にドラフト3巡目(全体97位)指名を受け、6年1700万ドルという破格の契約をした「スポーツ二刀流」のドリュー・ヘンソンと正QBの座を争い、大事な試合の途中に2学年下のヘンソンと交代させられる屈辱も味わっている。

 マホームズは大学2年生までは野球選手としての出場記録があるそうだが、3年生からはフットボールに専念したという。興味深いのは彼の実父であるパット・マホームズがプロ野球選手だったという事実だろう。

父は横浜でもプレーした“プロ野球選手”

 マホームズの父親はMLB歴11年で6球団を渡り歩き、1997年からの約2年は日本プロ野球の横浜(現DeNA)ベイスターズでプレーした投手だ(横浜では2年で3勝8敗、防御率5.34)。帰国後の1999年にはメッツに入団し、後に千葉ロッテの監督から米球界に復帰していたボビー・バレンタイン監督のもとで吉井理人氏(現千葉ロッテ投手コーチ)らと共にプレーして8勝無敗、防御率3.68のキャリア最高成績を残した。MLBでは通算42勝39敗、防御率5.47とあまり目立った成績ではないが、2009年まで米独立リーグでプレーするなど息の長い野球選手だった。

 他の数多くのメジャーリーガー同様、マホームズも現役時代は子供を職場(=野球場)に連れてくることが多かったそうで、2000年にメッツがワールドシリーズに出場した際には、当時の本拠地シェイ・スタジアム でメッツの選手たちに交じって打撃練習の球を追いかけているマホームズ少年の姿があったという。父マホームズは2018年、USAトゥデイの取材にこう答えている。

「(息子は)子供の頃、野球にどっぷり浸かっていたし、バスケもよくプレーした。(アメリカン・)フットボールっていうのは本質的に危険なものだし、なるべく遠ざけていたつもりだったが、彼(息子)は高校2年生になると急に興味を持ち始め、クォーターバックに挑戦したいと言い始めたんだ」

【次ページ】 “スポーツ三刀流”が生んだ才能

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トム・ブレイディ
パトリック・マホームズ
タンパベイ・バッカニアーズ
カンザスシティ・チーフス

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