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「自分のスケート人生の中で、今がいちばん」引退を撤回した新田谷凜が得た充実感と悔しさ
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2021/01/10 11:01
全日本選手権8度目の出場で初となる最終グループで演技した新田谷
「自分のスケート人生の中で、今がいちばん」
満足のいく演技にはならなかった。結果は10位とショートより順位を落として大会を終えた。
それでも、振り返りながらこう語る。
「大学を卒業しても続けることで、去年(2019-2020シーズン)以上の覚悟は必要になってきます。家族、コーチから『続けてよかったね』と言ってもらえるように、と思っていました」
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体力トレーニングや体重管理により積極的に取り組んだ。
そんな毎日を経て臨んだ全日本選手権。大会を終えて、感じたことがある。
「体力的にも、気持ちの面でも、自分のスケート人生の中で、今がいちばん」
一度はやめようと考え、いったん立ち止まって心を見つめなおし、もう一度、決意した。競技環境を整えるなど、簡単ではなくても続行しようと思った。
怪我による空白期間もあいまって、競技への思いも再確認することができた。
だから今まで以上の取り組みとともに歩んできた。
その末につかんだ、「今がいちばん」という思いだった。
「続けたら、いいことがあるかもよ」って伝えられる選手に
だから、こうも語る。
「卒業したら、やめなきゃいけないというわけじゃないと思います。引退するかどうか迷っている後輩がいたら、『続けたら、いいことがあるかもよ』って伝えられる選手になりたいです」
進退の決断に正解はない。選手によって異なる。そこに至る道筋もまた、それぞれによって違う。
重要な決断だから、新田谷の選択、その末につかんだ感情は、十分、1つの参考になり得る。
何よりも、悔しいと言う一方で見せる笑顔と表情が、新たな思いとともに競技に打ち込む新田谷の充実を物語っていた。