――「私は諦めの悪い男です」とは、ホーム最終戦（第33節）のセレモニーで、監督の挨拶でも触れていましたよね。その言葉がクラブにより一体感をもたらしたと思います。

三浦：まずはいろいろな人に対しての感謝の気持ちを伝えて、最後に何を言おうかと考えたときに、丁寧に何かを伝えるというよりも、真っ直ぐな気持ちを言ってしまおうと（笑）。ここまで粘り強くやってきたし、それによって絶対に何かが起きるから、俺は絶対に諦めない――そう伝えさせてもらった。最終的には19試合無敗という結果になったけど、そこまでに勝点を1でも必ず積み上げてきて、それが最後に効いてきたと思う。

　その中で選手もどんどんと自信をつけてきた。梅鉢（貴秀）の言葉ではないけど、「俺たちは強い」、「俺たちは負けないぞ」という雰囲気があった。だから、メンタルの部分も大きかったのかなと思う。ネガティブな思考はネガティブな雰囲気や結果を呼び込む。だからまずは自分がネガティブにならないこと。アディショナルタイムに追いつかれてしまった試合もあったけど、それでも負けなかったと。

選手時代のタイトルとはまた違った嬉しさ

――昨季の就任時に、三浦監督が「自分の力を示したい」と語っていた言葉がいまでも印象に残っています。

新潟での指揮はわずか10試合で終わった©Getty Images

三浦：長野のときは3位で昇格できなくて、J1の新潟でチャレンジしたときも10試合で身を引かざるを得なくなってしまった。そのあとに昨年から相模原にチャンスをもらって、その中でも15位という不甲斐ない結果だった。だから今年の頭から言っていたとおり、今季は何が何でも結果にこだわるんだ、という強い気持ちが自分自身にあった。だから、その中で昇格という結果を得られたのは本当に格別だった。

　選手時代に獲ったタイトルとはまた違った嬉しさだね。一度、少し沈みかけているところからまた盛り返したような思いがあるから、本当に格別だったよね。2、3日はもうずっと最高の気分だった（笑）。

横浜マリノスなどで活躍したころ©Getty Images

――「もちろん自分自身の戦いに固執するわけではない」とも仰っていましたね。

三浦：ただ、シーズンを戦っているときは「見返そう！」という気持ちは全くなくて、本当に毎日が無我夢中で。相模原というクラブを何とか1つ上のカテゴリーに引き上げたい、純粋に何とかこのクラブを強くしたい、相模原の街のシンボルになれるようにという思いだった。地域リーグから少しずつステップアップしてきた中で、今年はJ2ライセンスも承認された。J2になると見える景色は絶対に違うし、そこに行かないと分からないこともいっぱいある。

　シゲ（望月重良会長）が言うように、ここは通過点で、目標はもっともっと高い場所にある。だけど、J2を飛ばしてJ1には行けないわけだから、まず1つ上のカテゴリーに行って新しい経験をすることは、選手としてもクラブとしてもすごく大切。何とかそのステージに引き上げたいという気持ちがシーズンを通しては強かった。ただ、実際に終わったときの感情としては「やってやったぞ」という思いも多少出てきたかな（笑）。

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