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ゴミが飛び交い「やめろ」コールも…「たけしプロレス軍団」参戦に観客激怒 新日本、87年12月の悲劇 

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堀江ガンツ

堀江ガンツGantz Horie

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posted2020/12/31 11:02

ゴミが飛び交い「やめろ」コールも…「たけしプロレス軍団」参戦に観客激怒 新日本、87年12月の悲劇<Number Web> photograph by AFLO

たけしプロレス軍団(TPG)がリングに上がった『イヤー・エンド・イン国技館』の悲劇は奮闘の跡でもある

「長年プロレスをやってきてあんな惨めなことは」

 後年、藤波はこの一戦について次のように語っている。 

「長年プロレスをやってきて、あんな惨めなことはなかった。それまで俺と長州の試合というのは、新日本の看板、ドル箱であり、俺にとっても誇りだったんだよ。それがゴミが飛んでくる中やらなきゃいけないんだから、情けなくて思い出したくもない」

 結局、観客の反発があまりにも大きいため、猪木vs.ベイダー戦の前に、急遽また猪木vs.長州戦を行うこととなったが、2試合目である長州は試合開始早々に血だるまにされ、猪木に卍固めをかけられると、セコンドの馳浩が救出のため乱入したことにより、さしたる攻防もないままわずか6分ほどで反則負けに終わってしまう。

 それでも、最後の最後で猪木がベイダーを仕留めていたら、一応観客の溜飲も下がっただろうが、長州戦終了からそのままベイダー戦に突入した猪木は精彩を欠き、わずか3分足らずでフォール負け。これによって、猪木vs.長州の熱い闘いを期待しながら、ドタバタの茶番劇を見せられた観客の怒りがついに爆発してしまう。

両国国技館の無期限貸し出し禁止処分

 メイン終了後も観客は帰らず、罵声、怒号が飛び交い、リングにはモノが投げ込まれ、2階席の一部は観客によって破壊された。新日本はこの9カ月前、3.23大阪城ホールでの猪木vs.マサ斎藤の最中に謎の海賊男が乱入し暴動に発展したが、再び同じ不祥事を起こしてしまったのだ。

 この暴動騒ぎによって、日本相撲協会から新日本に対して両国国技館の無期限貸し出し禁止処分がくだされ、翌年予定されていた両国のビッグマッチはすべて中止。

 さらにこの不祥事で、ファンとテレビ局の信用を失った新日本のテレビ中継は、ついにゴールデンタイムから転落し、火曜夜8時から土曜日の夕方4時に移行(関東地方など)。戦後の力道山時代から長年、お茶の間を沸かせてきた「テレビプロレス」の時代は、これによって事実上の終焉を迎えた。

【次ページ】 視聴率獲得こそ最大の懸案でもある

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