杉村　細かいですけど、コンピュータ将棋が初めて動く瞬間の吉沢さんの驚きと感動が入り混じったあの表情も何とも言えなくて……。あれ、私もすごくよくわかるんです。将棋のルールって本当に難しくて、自分でイチから作って動くようになるのは本当に嬉しいものなんですよ。

山田　すごい細かいところまで見てもらってる……（笑）。あ、そうだ。この対談でどうしてもお聞きしたかったことがあって。

杉村　え、なんでしょう？

なんで「水匠」っていうソフト名にしたんですか？

山田　なんで「水匠」ってソフト名にしたんですか？　実は映画では「AWAKE」という名前の由来については、創作しているんです（笑）。ただ皆さんがそれぞれ、特別な感情を持っているのではと想像していまして。

杉村　まず、漢字にしようとは思っていました。なぜなら強くなった時、新聞記事に掲載されたら縦書きで表記されるからです（笑）。縦書きだとアルファベットは読みづらいし、カタカナになってしまうこともありましたから。それと短い方がいいだろうと。

山田　すごく理に適っていますね。

杉村　「水」という文字を入れた理由は、当時強かったソフトが「大合神クジラちゃん」、「dolphin」など水にちなんだものが多かったんです。そのソフトを参考にさせてもらったので「水」をつけようと。

「匠」の方は私と同じ弁護士である出村洋介さんという素晴らしいプログラマーがいて、その方が「技巧」という将棋ソフトを作ったんです。それにあやかりつつ「巧」という字を「匠」に変えました。

山田　まさに子供の名前をつけるように、しっかりとした理由があったんですね。「水匠」でもきっと映画のタイトルになっていたのではと思うほど、いい話が聞けて嬉しかったです

杉村　「AWAKE」も凄くカッコいい名前ですよ、もちろん（笑）。

＜撮影＝杉山拓也＞

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