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京大に進学してノーベル賞を獲りたい? 島のラグビー部が目指す花園制覇と難関大合格、 32歳監督の挑戦
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2020/12/26 17:01
2019年1月から監督に就任した田中春助監督。フッカーとして同校の花園初出場にも貢献している(2020年春撮影)
練習時間の短縮、アプリ投入
まずは「練習時間の削減と目的の明確化」だ。
約週4度の朝練習を、5時半からの2時間から6時半からの1時間に短縮(最難関コースの選手は0限があるため30分のみ参加)。約週2度の放課後練習は2時間半から1時間40分に削減した。また水曜日のオフに加えて、定期的に日曜日も完全休暇を取るようにした。
それでも「時間は減りましたが、中身は変わっていません」とむしろ練習の質は上がっている。その要因に「目的の明確化」がある。
スマートフォンのアプリを使った練習メニューの開示や管理、試合形式の練習がある場合は「こういうことを確認しよう」と事前に選手間でミーティングをする。指導陣にはLINEを通じて報告する習慣を植えつけた。また、練習中でも選手たちで課題解決を模索している際は、田中監督から口にすることはなく、あえて彼らに任せることで主体性を育ませているという。
ハングリーな状態を作り、自主性を促す
「現役時代の経験として、次に何のメニューが用意されているかがわからないと、“今のうちに手を抜いておいて、次を全力でやろう”と思ってしまうこともありました。でも今は1回、1回の練習やドリルにベストを尽くしてくれています。また、ハングリーな状態で全体練習を終えることで、その後の自主練習でも“自分たちはこれをやりたいんだ”と主体的に動ける。課題解決のための議論も彼らの中で粘った方が良い答えを見つけられますし、自信にも繋がります」
「ハングリーな状態で」との言葉にもあるように、「高校で燃え尽きさせない」ということも重視すると田中監督は言う。強豪大学に進む選手も難関校に進む選手も大学でラグビーを続けることが多いため、怪我の予防にも力を入れており、「我々スタッフが気付ける集団になりたい」とアスレティックトレーナーや理学療法士、医師らとも円滑にコミュニケーションを取っている。