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ダル「マイナスに考えて何が変わるんですか」 ノムさん「甲斐に19番を」賛否両論にも自分を貫く野球人<2020名言>
posted2020/12/27 11:05
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Getty Images/Takuya Sugiyama
<名言1>
だって、マイナスに考えて何が変わるんですか。
(ダルビッシュ有/Number1014号 2020年11月5日発売)
◇解説◇
2020年、ダルビッシュがメジャーリーグで見せたピッチングは圧巻だった。独特のヘアスタイルでマウンドに君臨した34歳は、並み居る強打者から次々と三振を奪い、メジャーで自身初となる6試合連続勝利を挙げるなど、日本人初となる最多勝を獲得した。
新型コロナウイルス禍によるショートシーズン(60試合制)ながら、8勝3敗、93奪三振、防御率2.01。通常のシーズンだったらどれほどの成績を残したのか……と、少々の残念さすら感じるほどの好成績だ。こちらも日本人初の獲得が期待されたサイ・ヤング賞についてはトレバー・バウアーに次ぐ2位にとどまったが、来シーズン以降の活躍も大いに期待したくなる充実ぶりだ。
そんなダルビッシュだが、成績などを見るとここ数年は決して順風満帆ではなかったように映る。特に2015年にトミー・ジョン手術を受けて以降はやや数字が下降し、2018年には8試合登板にとどまった。
そうした経緯もあってインタビュー取材で「トミー・ジョン手術後は、野球人生で最高にきつかったですか?」と問われたダルビッシュだが、「いや、全くきつくなかったです」とキッパリと言い、このように続ける。
「あの時期に体をすごく大きくしましたが、それまでのトレーニングの水準でずっとやっていたら今はない。あの数年の高強度のトレーニングがあったから今があると思っています。あそこがなかったら今の僕は絶対ないから、そういう意味でもすごく大事な時期だったし、何よりすごく楽しかったです」
「今は老いを感じてない」
実際、2019年後半戦から“ダルビッシュの再進化”の兆候は見て取れていた。メジャーリーグで重要視されるK9(9イニングあたりの奪三振数)、K/BB(奪三振数を四死球数で割った割合)で、カーショウやバーランダーという名投手を差し置いて、ダルビッシュがダントツの数値を残していたのだ。
数字でも表れていた充実ぶりは、本人も感じていたようだ。「自分が34歳と思ってないんですよ。なので、今でも若いつもりというか、若いと思ってます。だって、体自体25~26歳よりも強いわけですから。痛いところもないし、今は老いを感じてない」とも語っている。ダルビッシュは今まさに、心身ともに充実期に入っている。