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ダル「マイナスに考えて何が変わるんですか」 ノムさん「甲斐に19番を」賛否両論にも自分を貫く野球人<2020名言> 

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photograph byGetty Images/Takuya Sugiyama

posted2020/12/27 11:05

ダル「マイナスに考えて何が変わるんですか」 ノムさん「甲斐に19番を」賛否両論にも自分を貫く野球人<2020名言><Number Web> photograph by Getty Images/Takuya Sugiyama

ダルビッシュ有、野村克也……2020年が終わろうとする今、野球人の言葉に耳を傾けたい

<名言2>
最善策ですよ。1つの作戦だからね。あそこで堀岡を投げさせることの方がはるかに失礼なこと。
(原辰徳/NumberWeb 2020年8月7日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/844575

◇解説◇
 8月6日に行われた伝統の一戦、阪神vs巨人で物議を醸したのは、8回裏のことだった。巨人は5番手・堀岡隼人が中谷将大に満塁弾を浴びるなど、この回だけで7失点を喫し、11点ビハインドと敗色濃厚となった。

 すると原監督は、野手で足のスペシャリストである増田大輝をピッチャーとして起用したのである。

 この采配には、投手として実績を積み重ねた識者から否定的な意見が出る一方で、メジャーを経験した元選手からは“擁護”の言葉が出るなど、まさに賛否両論となった。

 ただ、采配を振るった指揮官は、冒頭の言葉を述べたように、意に介さなかった。

「勝つ組織を作っていく上で最大の障害は固定観念。こういうときにはこういうものだと決めつけるのではなく、もっと柔軟に大胆にあらゆる局面に対処していくこと。そういう旧来の常識に囚われない、幅広い思考が大事だと思う」

 原監督の信条である。こう言い切れるほど、采配のベースは揺らがない。

「去年からコーチから言われていたので」

 なにより、原監督の「ピッチャー増田」の構想は、行き当たりばったりの策ではなかった。それは増田のコメントを見ればわかる。

「(登板の可能性を)言われたのは中谷さんの前の打席のとき。いつか、どこかでそういうのが絶対に出てくるから、一応、頭に入れておいてって、去年から後藤(孝志)コーチとかからは言われていたので。点差が広がったときとかに、投手を助けられるんだったらっていつでも頭に入れていました」

 実際、増田は高校時代に立てなかった甲子園のマウンドを楽しみつつ、ストレートとスライダーを投げ分けて、打者3人に対して1四球を与えながらも2つのアウトを積み重ねた。

 結果、巨人のブルペンは大竹寛、鍵谷陽平、中川皓太、大江竜聖という大事な場面で投げさせるべき投手を温存できた。「敗戦処理」という役割とすれば、増田大はキッチリと仕事をしたといえる。この起用法も含めて、巨人が独走でセ・リーグ連覇を果たせたのも、原監督の思い切った采配があったからこそだろう。

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