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羽生結弦の名言「僕が目指すのは自分」「氷の上はありのままでいられる」「緊張を認めよう」<全日本出場>
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2020/12/25 06:00
平昌五輪当時の羽生結弦。全日本選手権でどんな演技を見せるのか
<名言3>
記憶に残っても記録に残らないのは意味がない。
(羽生結弦/Number991号 2019年11月28日発売)
◇解説◇
2019年、羽生にとって3年ぶりとなるNHK杯、演技後に羽生が見せた感情は安堵だった。
「正直、不安しかなかったです。ジャンプが跳べるか跳べないかという不安ではなくて、とにかく最後まで怪我をしないようにしたいという不安感がものすごくあって」と胸の内を明かすとともに、競技者として妥協しない姿勢を明言している。
この年の12月、イタリアで行われたGPファイナルでは、ネイサン・チェンに次ぐ2位。「勝ちたい」と語っていた羽生に満足感はなかった。その飽くなき姿勢が、長年にわたって男子フィギュアのトップ選手として活躍できる秘訣なのだろう。
<名言4>
僕が目指すのは自分。
(羽生結弦/Number852号 2014年4月24日発売)
◇解説◇
ソチ五輪を制し、名実ともに氷上の王者へと成長した頃のコメント。
「僕はもっと上手くなりたくて、それには誰かを超えれば良いというようなゴールがない。だから今僕が追いかけているのは、選手でもなく、人でもなく、モノでもない。(中略)誰かを目指すのではなく、僕が上手くなりたいという気持ちで燃えています」
超えるべき目標を設定するのではなく、自分と向き合い、それまでの自分を超える。オンリーワンとしての羽生結弦を追い求める――。その心があるからこそ、羽生は氷上を舞えるのだろう。
<名言5>
自分の緊張を認めよう。そして「本番は、1つ1つ丁寧にやる」だけだ。
(羽生結弦/Number892号 2015年12月17日発売)
◇解説◇
2015年のNHK杯で前人未踏の総合322.40というスコアで優勝した羽生は、フリーの会場に向かう途中でこんなことを考えていたという。
「五輪の魔物と同じだ。フリーで200点超えとか、総合で300点超えとか考えて、自分でプレッシャーをかけている」
プレッシャーを認めることで、プレッシャーを乗り越える。自らと向き合い、内なる戦いを制することで、メンタルをコントロールする術を学んでいったのだ。