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「乾には何も教えるな」2005年度選手権優勝、野洲《セクシーフットボール》の陰にいた知られざる“天才軍師”
posted2021/01/05 06:00
高校生にして観客を楽しませることを意識していた野洲イレブン。決勝の先発メンバーから青木孝太、荒堀謙次、乾貴士ら6人がプロに
text by

木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
YUTAKA/AFLO
まるで芸術作品のようなゴールだった。
2005年度、第84回高校選手権決勝、野洲対鹿児島実業。延長後半7分、田中雄大(現ブラウブリッツ秋田)の自陣でのパスカットから、それは始まった。
田中の左足から弾丸のようなサイドチェンジが放たれ、乾貴士(現エイバル)がピタリと止めて中央へドリブルを始めた。
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真骨頂はここからだ。乾は敵が近づいた瞬間、ヒールキックで背後にパス。平原研がすぐさまスルーパスを送り、駆け上がったボランチの中川真吾が折り返し、最後はFW瀧川陽が決勝弾を叩き込んだ。
厳しさは尋常ではないけど「カッコいいじゃないですか」
野洲は初優勝を果たし、「セクシーフットボール」という名とともに山本佳司監督は時の人になった。

