沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
朝日杯FS優勝“怪物の仔”グレナディアガーズの凄みと1番人気3着・福永祐一の「選択ミス」とは
posted2020/12/21 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Photostud
混戦を制したのは、父から欧州仕込みの底力を、母から米国流のスピードを受け継いだ超良血の1勝馬だった。
第72回朝日杯フューチュリティステークス(12月20日、阪神芝外回り1600m、2歳GI)で、川田将雅が騎乗した7番人気のグレナディアガーズ(牡、父フランケル、栗東・中内田充正厩舎)が2歳コースレコードで優勝。最優秀2歳牡馬のタイトルをぐっと引き寄せた。
「よく我慢して、いい内容で走ってくれた」
レースを引っ張ったのは、クリストフ・ルメールが手綱を取ったモントライゼだった。外目の14番枠からハナに立つと大逃げに持ち込み、5、6馬身のリードを保ったまま4コーナーを回り、直線に向いた。
グレナディアガーズはメンバー中2、3番目に速いスタートを切り、川田に軽く促されただけで楽に先団に取りついた。川田はこう振り返る。
「多少性格が難しい馬なので、気分を害さず、気持ちよく走れる競馬をイメージしていました。とてもリズムよく、よく我慢してくれて、いい内容で走ってくれたと思います」
抜群の手応えで4コーナーを回りながら2番手のブルースピリットの外に並びかけたグレナディアガーズは、逃げるモントライゼとの差を少しずつ詰めて行く。そして、ラスト400m地点で、前のモントライゼを3馬身ほどの射程にとらえた。
いつでもかわせそうな手応えだったが、川田はすぐにはゴーサインを出さず、追い出しのタイミングをはかっている。ラスト300mあたりから首を押すアクションを大きくし、ラスト200m手前で左ステッキを入れた。
「後ろを待つよりは、前をつかまえに行きすぎずにつかまえに行くほうを選択しました」
ラスト200mを切ったところでモントライゼをかわし、先頭に躍り出た。