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【退団インタビュー】DeNAラミレス前監督の柔和な表情が、厳しく変化した“ある選手の言葉”とは
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2020/12/20 11:04
最終戦を終え、手を振るラミレス。監督5年間の通算成績は692試合で336勝337敗19分とわずかに負け越したが、3度のAクラスに導いた
「防御率2点台の石田は素晴らしかった」
以前、投手陣のリーダーである石田健大に、「なぜDeNAは優勝できなかったのか?」と尋ねたとき「監督の起用に応えることができなかった」と語っていたが、そのことをラミレスに伝えると、柔和な表情がいささか厳しいものに変化した。
「50試合を投げ、防御率2点台の石田は素晴らしかったですし、素晴らしいシーズンになったと思います。他の選手もそれぞれがベストを尽くし優勝を目指して一生懸命やってくれました。怪我人が多かったのは確かですが、それは他のチームも一緒です。ただ思うのは代打が厳しかったというのはありましたね。山下幸輝が頑張ってくれましたが、代打全体を見てもホームランは1本、打点もさほど稼げなかったというのは問題だったと思います」
また就任以来「なぜスモールベースボールをやらないのか?」という意見をよく見聞きしたが、強打者の多いDeNAではファーストチョイスになることはなかった。
「理想的なスモールベースボールをやるのであれば2番に大和や柴田竜拓を置いて小技を生かすというのはあるけれども、ラインナップを考えれば、より攻撃的に行ったほうがいい。1点差で勝つというのはチーム事情を考えれば簡単なことではなかったですし、いかに点数を重ねて勝つかという打撃陣だったと思いますね」
「監督はロンリーになってしまうこともあるけど……」
賞賛されることもあれば、強烈なバッシングに晒されることもある。またBクラスになった2018年にはコーチ陣との不和がささやかれ、選手に対しては明らかに懲罰降格と思われる場面も見られた。まったく問題のない組織などないわけだが、そういう話を聞くたびにトップに立つ人間は孤独だなと感じられた。
「もちろん監督という立場はロンリーになってしまうことが結構あります。ただ、ひとりで考えなければいけないことや、自分だけで解決しなくちゃいけないこともたくさんある。そこは5年間、プロフェッショナルとしてやってこれたと思っているよ」