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フェルスタッペンが最終戦アブダビGP制す ハミルトンがフラフラでも1勝以上の価値があるワケ 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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posted2020/12/18 06:00

フェルスタッペンが最終戦アブダビGP制す ハミルトンがフラフラでも1勝以上の価値があるワケ<Number Web> photograph by Getty Images

ポール・トゥ・ウィン、2位ボッタスに約16秒もの差をつけ今季2勝目を挙げたフェルスタッペン。コロナ明けのハミルトンは3位

1周当たり0.1秒以下の差が結果を変えていたかも

 フェルスタッペンが指摘したように、最終戦でメルセデスがパワーユニットの出力を抑えていたことは、メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンが認めている。

「ここ数戦、われわれのパワーユニットを搭載するカスタマーチーム(レーシングポイントとウイリアムズ)にMGU-K(モーター発電機)のトラブルが発生していた。そして、その問題の原因が特定されていなかったため、最終戦ではメルセデスのパワーユニットは、すべてのMGU-Kに対してトラブルを回避するため、できる限り保守的な使い方を強制していた」(ショブリン)

 ただし、ショブリンによれば、保守的な使い方によるハンディは「(1周あたり)0.1秒以下の差で、レース結果を左右するほどのものではなかった」という。とはいえ、予選でのポールポジションのフェルスタッペンと2位のメルセデスとの差は0.025秒だったことを考えると、このハンディがなければ、どうなっていたかはわからない。

コロナ病み上がりのハミルトンはフラフラで

 最終戦では他にもう一つ、メルセデスが精彩を欠いた理由があった。それはルイス・ハミルトンが病み上がりだったことだ。第15戦バーレーンGP直後に新型コロナで陽性となったハミルトンは、第16戦サクヒールGPを欠場。10日間の隔離生活を経て、陰性となったことで最終戦に出場することができた。

 だが、予選を終えてハミルトンは珍しくこう本音をこぼした。

「復帰できたことは良かったけど、正直、体調はまだ100パーセントじゃないんだ。 肺にまだ違和感がある。日曜日のレースには持てるすべての力を振り絞って戦うことが必要になると思う」

 フェルスタッペンに18秒という大差をつけられてフィニッシュしたハミルトンは、チームメートのバルテリ・ボッタスにも遅れて3位に終わったレースをこう振り返った。 

「レース後、こんなにフラフラになったことはなかった」

 もし、ハミルトンが完調だったら、どうなっていたかはわからない。

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