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フェルスタッペンが最終戦アブダビGP制す ハミルトンがフラフラでも1勝以上の価値があるワケ
posted2020/12/18 06:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
最終第17戦アブダビGPでレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが優勝し、20年シーズンを締め括った。
レッドブル・ホンダにとっては今シーズン2勝目だが、この勝利は1勝以上の価値のある勝利だ。なぜならこの最終戦が21年の開幕戦につながる勝利でもあったからだ。
F1はチームごとにレギュレーション(規格)に従ってマシン(車両)を製作しなければならないが、このレギュレーションが20年から21年にかけてはほとんど変更されないことが発表されている。これは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、もともと予定していた大幅なレギュレーション変更の導入を21年から22年に延期したのに合わせた措置だ。
20年のF1はほとんどのグランプリが無観客での開催となり、財政面で多大な影響を受けた。そのため22年に延期された新レギュレーションまでの繋ぎの一年となる21年は、かかるコストをできるだけ削減し、20年に使用したマシンの大部分を21年もひきつづき使えるということにしたわけだ。
「勝てたのはうれしい。でも実力はわからない」
その大部分とは、モノコック、ギアボックス、サスペンション、アップライト、ホイールなどであり、マシンの約60%の開発がすでに凍結されている。
エアロダイナミクスの開発は凍結されてはいないものの、モノコック、ギアボックス、サスペンションの開発が凍結されたということは、マシンの骨格は大きく変更できないことを意味する。その骨格のマシンで戦った20年最後の一戦でレッドブル・ホンダがメルセデスに勝利した意味は大きい。
もちろん、レッドブル・ホンダも楽観はしていない。勝ったフェルスタッペンはいう。
「今回勝てるとは思っていなかったし、ポールポジションだって期待していなかったから、勝てたのはうれしい。でも、彼らはエンジンの性能を少し落として走っていたという情報もあるから、まだ実力はわからない。競争力を保持して来シーズンを始めるためにはやるべきことはまだまだある」