熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
久保建英の同世代ロドリゴが“レアルの救世主”に ビニシウスも含めたライバル3人の“力関係”は…
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images/Daisuke Nakashima
posted2020/12/12 11:03
CLで大活躍したロドリゴ。久保建英はビジャレアルでELでの起用がメーンだが、ここでとにかく結果を残したい
多くの欧州ビッグクラブからオファーが舞い込んだが、レアル・マドリーがやはり4500万ユーロの移籍金を積んで獲得。昨年7月に入団した。ビニシウスと同様、当初はカスティージャでプレーしたが、3試合で2得点を挙げてこちらも“早期卒業”。昨年9月にトップチームでデビューし、昨季は3大会合計で25試合に出場して7得点3アシスト。今季は、ここまで13試合に出場して1得点5アシストだ。
ブラジル代表には昨年11月に初招集され、強化試合2戦に途中出場。2022年W杯南米予選の10月の2試合に呼ばれてボリビア戦で途中出場したが、ペルー戦はベンチ。11月の2試合は招集外だった。
2年連続で期限付き移籍の久保は……
一方、久保は2人とは異なる道を歩んでいる。
移籍金なしで昨年8月にレアル・マドリーへ移籍。カスティージャではなくラ・リーガの他クラブへの期限付き移籍を望み、マジョルカで36試合に出場して4得点5アシストと健闘した。今季は昨季ラ・リーガ5位の強豪ビジャレアルへ貸し出され、ウナイ・エメリ監督の下でここまで17試合に出場して1得点3アシストを記録。直近のエルチェ戦では後半の45分間プレーし、ゴールこそならなかったものの「マルカ」紙によるとウナイ・エメリ監督も「居場所を見つけてくれた」と評価している。
3人をそれぞれ客観的に評価してみると
今季の3人のプレー時間は多い順にビニシウス、ロドリゴ、久保だが、得点やアシストの数はあまり差がない。
客観的に見ていると、3人のうち、現時点でプレー内容が最も優れているのはロドリゴだろう。両足がほぼ同様に使え、両サイドでほぼ同レベルでプレーできる。インテリジェンスがあり、周囲との連携も熟成されつつある。守備力も高い、ただし、試合によって好不調の波がある。
ビニシウスはパワーがあり、創造性も備えるが、シュートの精度が安定しない。独りよがりなプレーをすることも散見され、その点も改善の余地がある。
久保はボールタッチとドリブルが素晴らしいだけに、身体能力、守備力、決定力をさらに高めたいところだ。
来季以降、久保がレアル・マドリーに呼び戻されて居場所を確保するためには、この2人、とりわけ同い年、同期入団で右サイドでプレーするロドリゴを追い越すことが必須となるだろう。
それに加えて久保には、目に見えない“障害”があるかもしれない。