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久保建英の同世代ロドリゴが“レアルの救世主”に ビニシウスも含めたライバル3人の“力関係”は…
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images/Daisuke Nakashima
posted2020/12/12 11:03
CLで大活躍したロドリゴ。久保建英はビジャレアルでELでの起用がメーンだが、ここでとにかく結果を残したい
レアル・マドリーには、中盤の守備の要カゼミーロ、ベテラン左SBマルセロ、CBエデル・ミリタン、そしてロドリゴ、ビニシウスとブラジル人が5人もいる。ブラジル人選手は同胞と一緒にプレーする方を歓迎するだろうから、ロドリゴらをはるかに凌駕する実力がなければ“ブラジル人派閥”に跳ね返される可能性がある。
EU圏外出身者を対象とする外国人枠の問題についても、日本では多く報道されているようだ。ラ・リーガで同時に出場できる外国人選手は3人までで、現時点ではビニシウス、ロドリゴ、ミリタンが占めている。
ただスペインでは、イベロアメリカ(かつてのスペインやポルトガルの植民地)出身の人は、2年以上居住すると国籍を取得する資格が生まれる。ビニシウスは入団後2年を超えており、すでにスペイン国籍を取得したか、近々取得できる見込みである。ロドリゴとミリタンも、来年7月1日で入団後2年となり、国籍取得の権利を手にする。来季以降、外国人枠には余裕が生まれると思われ、この点はさほど心配するはなさそうだ。
久保とロドリゴ&ビニシウスの注目度の差
ロドリゴとビニシウスは、フットボール王国ブラジルが生んだ逸材だ。とはいえ、2人ともそれぞれに課題を抱えており、クラブ、代表双方でまだ絶対的なレギュラーではない。決して乗り越えられないような、高い壁ではない。
ちなみに、久保は同年代の日本人選手の中では傑出しており、日本では彼の一挙手一投足が注目を集める。
一方、現時点の実力で久保を上回り、だからこそレアル・マドリーのトップチームでプレーしているロドリゴとビニシウスのブラジルでの注目度はそれほどでもない。この年代でこれくらいの選手はこれまで何人もおり、そのうちのある者は大成したが相当数が消えていった。そのことをフットボール関係者、メディア、ファンの誰もが知っており、「2人はあくまでもこれからの選手」とみなされているからだ。
当面、久保はビジャレアルでレギュラーポジションを奪い取り、得点、アシストという目に見える結果を残し、さらにはレアル・マドリーの同ポジションの選手をもプレー内容で上回りたい。
これが極めて難しいタスクであるのは、間違いない。しかし、レアル・マドリーという世界のトップクラブの一員となり、そのレギュラーを目指すのであれば、そのポジションの世界一の選手になる、というほどの意気込みが必要となる。
この困難な道を選んだのは、久保自身だ。これまで日本人選手が誰も到達したことのない高みを目指すこの若者を、熱く、しかし同時に冷徹な目で追うべきだろうと考えている。
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