スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
【FAウラ話】裏切りの移籍…新井貴浩「ずっと広島にいたら、カープの魅力がわからなかったかもしれない」
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTakuya Sugiyama
posted2020/12/10 17:02
Number902号(2016年5月)でインタビューに応じる新井。この取材前の4月に2000本安打を達成した
「福田君。FA権、おめでとう」
<名言2>
プロ野球選手として一人前になった証でもあるのかなと思います。
(福田秀平/NumberWeb 2019年11月25日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/841579
◇解説◇
王者ソフトバンクで存在感を発揮しながらも、絶対的なレギュラーとして位置を確保できずにいた福田。
「本当の評価は交渉の場じゃないと確かめることができないので、そのためにもまずは宣言しようと思ったんです」
取得するまで全く意識しなかったというFAの権利を、悩んだ末に行使することを決めた。
交渉を進めるにあたってソフトバンクからの反応にも驚いたと話す。
「みんなから『おめでとう』と言ってもらえました。球団のフロントの方からも『福田君。FA権、おめでとう』と。『これでホークスの管理下ではなく、市場の選手になったね』という表現をしてもらいました」
同学年の柳田悠岐には「寂しくなる」と止められたそうだが、これまでの貢献を鑑みた球団は福田の宣言残留を認める形で、快く送り出した。
評価された守備と足
“どこの球団も手を挙げてくれなかったら”という不安もあったと話すが、福田の元には複数球団からの関心が寄せられた。改めて守備と足を評価されたのだ。
「たとえば『代走で出て、ここぞの場面で走れる思い切りの良さ』を評価してもらえたこともあれば、『状況に応じて慎重な判断ができる』と言ってもらえたこともありました。『一塁ランナーとして相手バッテリーにプレッシャーを与えられる』とか、僕としてもプロ生活で大事にしてきたことを相手チームにも見てもらえていたのは、本当に嬉しかったですね。やってきたことが間違いじゃなかったんだと思えました」
煩雑かと思われたFAの書類は「シンプルに紙1枚だった」と拍子抜けしたものの、高評価をもらったロッテを選んだ。
今季、ソフトバンクとは最後の最後まで日本シリーズ進出を懸けて戦ったが、福田にとっては古巣の強さを目の当たりにした1年となった。来季はリベンジに燃える。それが一番の恩返しになる。