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【契約更改ウラ話】巨人、FA補強の陰で7年ぶり異例の“契約保留選手”が訴えたこととは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2020/12/08 20:25
今季は29試合に登板し、2勝1ホールドの田原。2011年ドラフト7位で入団した29歳
「毎年『来年は良くなるから』と」
そうして12月4日に再交渉に臨んだ田原は、金額的には現状維持の3600万円(推定)でサイン。その記者会見で保留の真意をこう明らかにしたのだった。
「3年連続でブルペンの環境改善を訴えていて、毎年のように『来年は良くなるから』と言われても、具体的に何が変わったか分からない状態だった。少しでも多くの人に『僕らはこんなひどい環境でやっていたんだよ』と知って欲しかった、という意味の保留だった」
こう訴えたのである。
実は巨人がペナントを奪回するための最大の懸案事項は、このブルペンの再建のはずなのだ。
問題は僅差のゲームに勝てないこと。
今季の巨人の救援陣はクローザーのカミネロにセットアッパーのスコット・マシソン投手を勝利の方程式としてスタートした。ところが6月末にカミネロが不振から登録抹消されてマシソンがクローザーに回ったが、そのマシソンもケガで離脱。最後は先発の山口俊投手がDeNA時代の実績を買われて抑え役を任されるなど迷走を繰り返した。
ただ、もっと問題なのは、序盤で2、3点を追いかける展開や競り合った僅差のゲームで中盤から継投に入った場合のブルペンだった。
澤村拓一、宮國椋丞投手を軸に左の中川皓太、池田駿両投手、右の谷岡竜平にサムエル・アダメス投手に田原も加わる。そして大ベテランの上原浩治投手や先発から中継ぎに回った野上亮麿投手らも、こうした試合展開で度々マウンドに上がっている。
ところがここで中継ぎ陣が踏ん張れずに、踏みとどまれなかった試合が非常に多かったのである。