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「弱くても、心は折れない」NHK杯、坂本花織の笑顔と三原舞依の涙…互いを励みに歩んでいく
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKoki Nagahama - ISU via Getty Images
posted2020/12/06 11:02
NHK杯を圧勝した坂本(左)と休養明けのシーズンながら4位に入った三原
「私からスケートをとってしまったら何も残らない」
支えは、フィギュアスケートへの情熱にほかならない。
近畿選手権時にこう振り返っていた。
「氷の上に、少しでも早く立てるように、ということだけ考えて毎日を過ごしていました」
毎日柔軟運動を行ない、「筋肉をいちから作り直すために」、基礎から体幹トレーニングに励んだ。リンクに立つ日だけを考え、できることすべてに心を尽くした。
近畿選手権での復帰からNHK杯での三原ならではの清廉な演技、そこまでの過程を思ったとき、以前の言葉も思い起こされた。2018年の言葉だ。
自身を「弱い」と定義した上で、語った。
「どんなに弱くても、たぶん心は折れないです。折れたときはご臨終している、死んでいると思います。私からスケートをとってしまったら何も残らないと思うんです」
「心は折れないです。ずっと折れなかったら、ギネスブックにもいつか載れそうじゃないですか?(笑)」
変わらぬ姿勢が、NHK杯の三原にあった。
坂本と三原は互いを刺激に、励みに切磋琢磨して歩んできた。
「(グランプリシリーズに一緒に出るのは)初めてです」
三原が笑顔を見せる。
これからも、互いを励みに歩んでいく。