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「弱くても、心は折れない」NHK杯、坂本花織の笑顔と三原舞依の涙…互いを励みに歩んでいく
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKoki Nagahama - ISU via Getty Images
posted2020/12/06 11:02
NHK杯を圧勝した坂本(左)と休養明けのシーズンながら4位に入った三原
自分が変われば、現実も変えられる
「このままだめになっていくのか、いい方向に持っていけるのか。すべては自分次第」
自分が変われば、現実も変えられるという思いとともに、「あの悔しさをもう味わいたくない」と練習に向かった。
努力する重要性を自ら考えて認識し直し、努力しようと決意した。そうした過程を踏まえて実行してきた。
その変化は、「言われるままにやっていた」という段階から一歩進むことができた証だ。
なによりもNHK杯の坂本の演技、そして終わったあとの笑顔は、変われたことを雄弁に物語っていた。
休養前の構成と同じレベルまで戻した
「最後の方は前が見えなかったくらいです」
フリーのステップの途中から涙があふれた。演技が終わったあとは何度も飛び跳ね、そして両手で顔を覆った。
ショート7位からフリー3位で総合4位と巻き返した三原舞依は、大会中、何度も涙を流した。
無理もない。
2019年3月、「PIフリースケーティング大会」で2018-2019シーズンを締めくくり、次のシーズンへ向かおうとしていた。
昨夏、全日本合宿にも参加したが、その後、休養を余儀なくされた。
今年10月、近畿選手権で約1年半ぶりに試合に復帰。10月末からの西日本選手権を経て迎えたNHK杯では、たしかな向上を見せた。
近畿選手権では、本来の構成よりジャンプの難度を落としていたが、休養前の構成と同じレベルまで戻した。そしてフリーの7つのジャンプすべてを着氷した。
「まだまだ完璧とは言えない演技ですけど、大きなミスなく終えられたことはよかったんじゃないかと思います」
控えめに手ごたえを語ったが、経緯を考えれば、よくぞここまで、と評してもおおげさではない。