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FA移籍の裏で「人的補償」はいつも切ない 意外と活躍する選手もいるが…
posted2020/11/30 12:35
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Kyodo News
今年のFAは、例年よりもおとなしかった。国内FAで移籍が決まったのは増井浩俊(日本ハム→オリックス)、野上亮磨(西武→巨人)、大和(阪神→DeNA)の3人。
海外FA宣言をしたのは平野佳寿(オリックス)、涌井秀章(ロッテ)、大野奨太(日本ハム)、鶴岡慎也(ソフトバンク)の4人だけだ。
MLBでは、今季も大量の選手がFAになっている。記録専門サイトBaseball Referenceによれば、12月5日現在、162人の投手と172人の野手がFA状態にあり、このほか、すでに23人がFAを経て球団と契約した。
FA選手は、NPBは7人、MLBは334人。なぜこんなに差があるのか。
落合博満は「宣言をなくせばいい」と言った。
FAとは、選手が定められた期間選手登録されれば、機構内のすべての球団と自由に入団交渉できる権利を得る制度のことだ。
期間は、NPBは8シーズン(海外FAは9シーズン)。MLBは6シーズンとなっている。その年限の差もあるが、それ以上に大きいのは、MLBでは年限が過ぎて契約をしていなければその選手は自動的にFAになるのに対し、NPBでは年限が来ても、FA宣言しなければFAにならず、今いる球団が交渉権を保持するという点だ。
つまりMLBではオフになれば、FA年限が来ていない選手と、長期契約をしている選手を除くすべての選手が自動的にFAになるが、NPBではFA年限をすぎても「宣言」しなければ、選手の身分は変わらないのだ。
NPBの選手は「FA宣言」があるから、なかなか移籍しない。NPBはMLBよりもはるかに選手の流動性が低いが、その大きな要因が「FA宣言」なのだ。落合博満は「宣言をなくせばいい」と言ったことがある。
NPBではFAはかなり特別な状況だが、MLBでは当たり前の状態だ。キャリアで一度もFAにならない選手はほとんどいない。