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河村勇輝「父のような父になりたい」 非“熱血おやじ”が作った庭のバスケットコートが高校生Bリーガーを生んだ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byYuki Suenaga
posted2020/11/29 17:01
オータムカップでの自身のプレーには「満足していない」という河村。12月7日に始まるインカレでも優勝を狙う
「よかったぞ」が河村のモチベーションに
「口うるさく言われたことは全然なくて、僕の自主性を本当に尊重してくれた。バスケットが嫌いにならないように、環境だけを整えてあげようと考える父だったので。それでいて、良いプレーができたときには試合会場からの帰り道に『今日は練習していたことが1回できたな、よかったぞ』と。いわゆる“熱血おやじ”という感じではなかったです。自分のなかでは、父にほめられることをモチベーションにしていたので」
職場でも、学校でも、家庭でも、想いが強ければ強いほど、あれこれと口を出してしまうというのが人間の性だ。
口を開くのはヒントをあげるときと、ほめるときだけ。
バスケ界の理想のコーチ、父親といえる存在だった。
「うちの父のような」父親になりたい
だから、19歳の河村はこう言って胸を張る。
「自分も将来、父親になる日が来たら、子どもの自主性を重んじた上で環境をきちんと整えてあげたいな、と。『うちの父のような』父親になりたいなという思いはずっと抱いています」
これから先、高校生でBリーグのコートに立つ選手は出ても、昨シーズンの河村のように高校生でBリーグの舞台で大活躍する選手はそう簡単には現われないだろう。
河村自身の努力に、それを見守る父・吉一さんの愛が加わって、現在の河村が作られたからだ。
現在、全国からタレントが集まる東海大の中でもスーパールーキーとして活躍し、11月上旬に行われたオータムカップでは優勝に貢献。「自分的には納得のいくプレーができた試合がなかった。シュート精度などいろいろ課題があったので」と猛省しながらも、コート上では存在感を放っていた。
遠く離れた今も、父の見守る力は彼を支えている。