濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“高学歴アイドルレスラー”才木玲佳が筋肉コンテスト優勝! 長期欠場を逆手にまた新しいキャラを獲得
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2020/11/26 17:03
ウーマンズフィジーク優勝という新たな勲章を得た才木玲佳。コンテストで着用したのはプロレスと同じブルーの衣装だった
「専門家から見たら大したことない」となる不安も
アイドルにしてもプロレスラーにしても、意地悪な見方をされがちなジャンルだ。「かわいいだけ」、「しょせん見せ物」。そんな声を、才木は一朝一夕ではつかない“筋肉”で跳ね返してきた。
ただ今回は芸能界でもプロレス界でもなく、いわば“筋肉界”での勝負だ。「アイドルなのに凄い筋肉」ではなく、それ専門の競技者、愛好家に混じって客観的な評価が下される。そこで結果を残したからこそ価値は大きい。プロレス風に言えば“他流試合”に勝ったことになる。筋肉アイドルの筋肉は、コンテストで通用するものだったのだ。
結果によっては「なんだ、専門家から見たら大したことないんだな」となるかもしれなかった。そういう不安もないわけではなかったが、それよりも「自分がどこまでできるのか」という興味が上回ってワクワクしたと才木は言う。“筋肉アイドル”と名乗るからには、一度はコンテストに挑戦しておきたかった。
「だって人生一回きりじゃないですか。やれることは全部やりたいですもん」
様変わりするマット界での復帰はどうなる?
全国大会までにもうひと絞り。プロレスに復帰する際も、今までより絞った体にしようかという考えも出てきたそうだ。ただ、それはもう少し先の話になる。
才木のアゴにはまだプレートが入っているから、外すための手術が必要だ。コロナ禍もあり、いつ手術するかタイミングをはかっているという。プロレス復帰について本格的に動き出すのはそれから。待ってくれているファンの期待に応えたいという気持ちは強いが、焦らずじっくり考えたいそうだ。
そもそも、所属していた団体WRESTLE-1が4月で活動を停止しており、復帰しようにもホームリングがない状態だ。主戦場をどこにするかから考えなくてはいけない。また彼女は、5月に亡くなった木村花とプロレススクールで同期だった。欠場している間、マット界、女子プロレス界はどんどん様変わりしていった。
ケガだけでなくそうした状況も含めて、今年は才木にとって仕切り直しの時期だった。その時間を無駄にせず、それどころか新たな勲章を得たのだから並のたくましさではない。
次にリングに上がる時には、彼女の筋肉にはさらに価値が出ていることになる。プロレス復帰だけでなく、また何か新しいチャレンジをしている可能性もあるだろう。
「そうなると思います。その時はまた取材してくださいね」
何をやるかは分からない。でもとにかくやる気しかない。そんな才木玲佳の“キャラの渋滞”はますます進みそうだ。