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なぜ試合に出られない、公式記録にも残らない「馬付き」を選んだのか 懸命な女子大生の姿を追う 

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中西祐介

中西祐介Yusuke Nakanishi

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photograph byYusuke Nakanishi

posted2020/11/14 06:00

なぜ試合に出られない、公式記録にも残らない「馬付き」を選んだのか 懸命な女子大生の姿を追う<Number Web> photograph by Yusuke Nakanishi

日本大学馬術部の堀坂七菜子(左、2年)。4年名倉賢人とオリンピックホースでもある桜望をサポートしている

試合に出られない、公式記録にも残らない

 馬付きは直接試合に出場することは出来ないし、公式記録にもその名は残らない。

 日本大学馬術部には全日本ジュニア大会で活躍した選手や高校時代には馬術部内で中心にいた者が多く入学してくる。堀坂も高校時代は自身が部内で中心選手だったという。大学でも自身が馬に乗って活躍する姿を思い描いていたはずだが今はレギュラー馬をサポートする立場にいる。そのギャップに苦しむことはないのだろうか。

 このことを堀坂に尋ねるとこんな答えが返ってきた。

「学生馬術の馬付きは、選手と馬を心から応援している存在でないとできないことだと思います。どの部員にもチャンスがある中で選ばれた人馬を他の部員が支えるということに複雑な思いをする部員もいるかもしれません。それでも全員が同じ目標に向かってサポートしあうことができるのは、本当に心から応援できる人馬であるからだと思います」

サポートするのはオリンピックホース「桜望」

 彼女がサポートをするのはリオ五輪に出場したオリンピックホースである「桜望」と昨年の全日本学生三大大会の2種目を制した4年生の名倉賢人。

 この人馬の馬付きになったのは1年生の時、付きたい馬の希望を出す際に名倉から声をかけてもらったのがスタートだった。

 馬付きはまさに裏方仕事。試合前はライダーに集中してもらうために身の回りのことや馬のケアなどは全て堀坂が行う。几帳面な名倉が求めるもの、神経質だという桜望の性格を把握し、今自分は何をするべきなのかを人馬の目線で考える。マネージャーとも違う「馬付き」という強力な存在が試合に出ていく人馬を支える。

【次ページ】 ウィニングランで先頭を走る風景が見える

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