All in the Next ChapterBACK NUMBER
皇治が批判覚悟で突き進む理由 武尊と再戦?「殴り返さないと気が済まんのですよ」
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2020/11/06 11:02
年末は「ファンが上がるカード」をしたいと語った皇治。どんな戦いを見せてくれるだろうか
「ファンが上がるカードだけ」
――皇治選手にとって、RIZINでの目標と格闘家としての目標は別物なんですか?
今はとにかくRIZINだろうがなんだろうが、格闘技界を盛り上げたい気持ちが大きいですね。ISKAで世界タイトルを取ったときから、ベルトはどうでもいいと言ってきたんで。ベルト云々よりは一戦一戦盛り上がるカードをやりたいと思っていますね。
――その思いはどこからくるものなんですか?
小さい頃から周囲に有名になる、K-1ファイターになるとずっと言い続けてきましたけど、特別才能があったけでもないですし。そこから最初は80人ぐらいの会場から試合をするようになって、そこでも勝ったり、負けたり。全勝で上がっていければかっこいいですけどね。でも、それでも応援してくれる人がいてここまで来れた。軍団(応援団)が1人もいなかったらとっくにやめていたと思うんですよ。だからその人たちが喜ぶ試合をして、恩返しをしたい気持ちが大きいわけです。
昔ね、市役所に「応援してください」とお願いしたことがあったんですよ。でも当時は市長室にさえ入れてもらえなかった。それは昔やんちゃしていたんで、市を上げての応援は難しいです、と。だから絶対見返してやろうと思った。今や(大阪府池田市の)親善大使ですよ。
――反骨精神でここまでやってきたと?
ほんまに反骨精神と恩返しの気持ちだけ。それに、今の若い選手たちに自分と同じ思いをしているやつもたくさんいると思うんですよね。そういう子らに「あいつがなれるなら俺もなれる」と夢を持ってもらえたらいい。子どもたちにも格闘家を目指すようになってもらいたいですしね。野球選手やサッカー選手、YouTuberになりたいと言うのはリアルにいい暮らしができるから。痛い思いをして稼げないじゃ、格闘家を目指さないですよね。週刊誌に撮られるほどモテる姿を見せれたら、俺もなりたいとなるかもしれない。そういう思いでやってます。
年末はボブサップと対戦!?
――次の対戦カードに期待するファンも多いと思います。まずは年末ですね。
年末は盛り上がることしかしないですよ。ひと通り勝ったり、負けたり、世界チャンピオンともやらせてもらってきたので、もういいかなと。欲しかったキックボクシングの世界タイトルも取った、K-1の元世界王者にも勝った。勝てなかった選手もいますけど、ファンがたくさん付いてきてくれている。あとはもう、ファンが上がるカードだけですよ。
となると、ボブ・サップとか?(笑)。やっぱりお茶の間に届けたいですよね。若手とやっても格闘技マニア、格闘技ファンには認知されますけど、もっと格闘技を知ってもらおうと間口を広げるなら、ね。ボブ・サップとかチェ・ホンマンとか、おじいちゃんでも知っている選手とやりたいです。
――たとえば堀口恭司選手など、総合の選手はどうですか?
やりますよ、すぐやりますよ。ただね、MMAはやったことない。寝技は女の子だけ。そこは改良せんとあかんですね(笑)。だから本気でMMAの練習もしないとな、と思っていますよ。一度、K-1時代に川原(誠也)選手とキックルールで試合をして、総合格闘家のパンチ力のえげつなさを知った。あの時は顔吹っ飛ぶかと思いましたもん。だからもう油断はない。キックルールでも俺が負けるやろうとか言う輩もいますが、手数が違うので時間が経てばこっちのペースになりますから。立ち技でやれるなら楽勝でしょ。ただ寝技は勘弁して。