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「僕がここに来たのには理由があった」レブロンがコービーの死を越えて語った、優勝の“意味” 

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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posted2020/10/23 17:01

「僕がここに来たのには理由があった」レブロンがコービーの死を越えて語った、優勝の“意味”<Number Web> photograph by Getty Images

レブロンを疑問視するレイカーズ・ファンの声はやがて小さくなり、「真のレイカーズの一員」になった

「レブロンの全盛期は過ぎたか…」疑問の声も

 しかし、コービーのそんな太鼓判に反して、レブロンのレイカーズでの1シーズン目は、結果が伴わなかった。開幕直後こそ好調だったが、クリスマスデーの試合中にレブロンが鼠径部を負傷したことで暗転。レブロンは約1カ月間欠場した後に復帰したが、完調とは言えず、経験が浅い若手が多かったチームはプレイオフを逃した。期待が大きかっただけに、ファンの間からも、レブロンはもう全盛期を過ぎたのではないか、今の彼ではレイカーズを優勝に導くのは難しいのではないかという疑問の声も聞かれたほどだった。

 レブロンが、レイカーズのファンにとってはチーム加入前の実績はまったく関係なく、レイカーズとして結果をあげないとリスペクトされないと言ったのも、そんな1シーズン目を過ごしたことでわかったことだった。

レブロンを受け入れた瞬間

 2シーズン目となった19-20シーズンは、アンソニー・デイビスという力強い相棒が加わり、脇役も経験豊かなベテランで固め、見事に優勝を達成した。

 もっとも、レイカーズのファンがレブロンをリスペクトし、本当にレイカーズ・ファミリーの一員として認めるようになったのは、単に優勝したからでも、ウェスタン・カンファレンス1位の成績をあげたからでもなかった。

 それより前に、レイカーズ・ファンがレブロンを完全に受け入れた瞬間があった。10月に優勝するより8カ月余り前のこと。1月26日にコービーがヘリコプター事故で命を落とし、その5日後に、事故後初めてレイカーズが試合を行ったときのことだ。試合前のセレモニーで、レブロンはチームを代表して追悼のスピーチをし、スピーチの終盤でこう語った。

「僕が今このチームにいるということは、僕にとってもとても大きな意味を持っている。チームメイトと共に、彼のレガシーを引き継いでいきたい。それは、今シーズンだけでなく、愛するバスケットボールをし続けている限りずっとだ。それが、コービーが望んでいたことだから」

 このレブロンのスピーチには、会場を埋めたファンから大喝采が送られた。レイカーズの公式ツイッター・アカウントが、このスピーチ動画を投稿すると、ファンからは「ありがとう、レブロン」「レブロンは真のレイカーズの一員だ」「レブロン、あなたはレイカーズ・ファンの心を射止めた。たとえ優勝しなかったとしても」「レブロンが自分たちの気持ちを代弁してくれた」と、レブロンに感謝し、称賛するコメントが寄せられた。

 ファンは、レブロンがコービーの遺志を継ぎ、伝統を次の世代につないでくれると信じられるようになり、そのことで心の穴を埋めていた。

【次ページ】 「一度レイカーズになれば、ずっとレイカーズ」

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