熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
実は恋多き男!? 祝・80歳ペレの知ってるようで知らないキング伝説&生涯ベストゴールとは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/10/23 06:00
自身が高く評価するキリアン・ムバッペと神様ペレ。サッカー王国ブラジルに数々の伝説を残している
17歳でのW杯初優勝、初恋の人へ……
そして17歳で1958年のワールドカップ(W杯)スウェーデン大会である。同大会に招集されたペレは、4試合に出場してチーム最多の6点を記録。ブラジル初優勝の立役者となった。
W杯終了後、ペレはバウルーへ凱旋。真っ先にサカイ家を訪れ、自分のプレー写真の裏に以下のメッセージを記してネウザさんに手渡した。
「ネウザ、あなたに恋焦がれる者からのサインを受け取ってください。愛の証として、エジソン・アランテス(ペレ)。1958年7月13日」
1282得点、伝説のシャペウ弾も
以後の活躍は、世界中に知れ渡っている。1962年と1970年のW杯に出場し、いずれも優勝。サントスでも、1962年と1963年にクラブ南米王者と世界王者に輝いている。
サントスには1974年まで18年在籍し、1975年から1977年まではニューヨーク・コスモスでプレーして北米におけるフットボールの普及に貢献した。
キャリア通算で1367試合に出場し、実に1282得点をあげたとされる。
私が本当にすごいと思うのは、超人的なスピードとテクニックもさることながら、その創造性だ。
1958年W杯の準々決勝ウェールズ戦。ゴール前でマーカーを背負ってパスを受けると、背後にボールを浮かせて抜き去り、右足でシュートを決めた。
決勝のスウェーデン戦では、ゴール前で左後方からのクロスを胸でトラップしてマークを外し、別のDFを頭越しにボールを浮かせて抜いてから(ブラジルではこのプレーをシャペウ=帽子=と呼ぶ)、ボレーシュートを叩き込んだ。
当時、こんなプレーをする選手は世界のどこにもいなかった。それを、17歳の少年がW杯の大舞台でやってのけたのである。
これらのゴールは動画が残っており、62年後の今見ても十分にすごい。
しかし、ペレ本人による「生涯ベストゴール」は別にある。