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実は恋多き男!? 祝・80歳ペレの知ってるようで知らないキング伝説&生涯ベストゴールとは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/10/23 06:00
自身が高く評価するキリアン・ムバッペと神様ペレ。サッカー王国ブラジルに数々の伝説を残している
知られざるベストゴールの詳細は……
1959年8月2日に行なわれたサンパウロ州選手権のジュベントス戦。この試合でペレはハットトリックを記録したのだが、その3点目。ペナルティエリアのすぐ外側で右からクロスを受け、最初のマーカーをシャペウでかわし、別の選手をこれまたシャペウで置き去りにし、さらに飛び出してきたGKもシャペウで振り払うと、頭で無人のゴールへ送り込んだ。
シャペウの3連発!こんなプレーは、未来永劫、誰にもできないのではないか。このとき、ペレは18歳。まるで、早熟の天才モーツァルトのようだ。
70年W杯でも伝説的プレーの数々
一方、ゴールにこそならなかったが、その独創的なアイディアが語り継がれるプレーがある。
1970年W杯のグループステージのチェコスロバキア戦で、ハーフウェイライン手前でボールを受けると、咄嗟に約60mの超ロングシュート。ボールはゴールへ向かって一直線に飛び、前へ出ていたGKが慌てふためいて背走する。シュートは、風を受けてかゴールの手前で少し軌道が変わり、ほんの数十センチ、ゴールの枠を外れた。今でこそ、時折、見かけるプレーだが、最初に試みたのはこの男だ。
また、この大会の準決勝ウルグアイ戦でも、とてつもないプレーをやってのけた。
左後方からのパスに合わせて走り込むと、GKが前へ飛び出してきた。それを見て、ボールを止めるふりをしてスルー。GKは右手でペレの体をつかまえようとするが、空を切る。ペレは反転してボールに追いつき、右足でシュート。しかし、ゴールポストをかすめて外れた。
このような判断が瞬時にできるのは、天分としか言いようがない。