沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
デアリングタクト史上初の無敗三冠牝馬に! 圧巻の秋華賞で見せた今までにない強さとは
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byKyodo News
posted2020/10/19 11:30
第25回秋華賞を制したデアリングタクト。史上初の無敗三冠牝馬の今後にも注目だ
桜花賞、オークス、秋華賞で異なる強さ
これで5戦5勝。メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイに次ぐ史上6頭目の牝馬三冠馬となった。前述したように無敗での達成は初めてだが、ダービー、オークス、菊花賞の「変則三冠」を、1943年に女傑クリフジが無敗で制している。
この日のデアリングタクトの馬体重は前走からプラス14kgの480kg。オークスからのぶっつけとなり、プラス14kgの480kgで秋華賞を勝ったのは2018年のアーモンドアイとまったく同じ。同じくオークス以来となった昨年の秋華賞を勝ったクロノジェネシスはプラス20kgの452kgで出走していた。これで3年連続オークスから直行した馬、それも馬体を大きく増やした馬が秋華賞を制したわけだ。
デアリングタクトの上がり3ハロンはメンバー中2位タイの35秒8だった。キャリア5戦目にして初めてメンバー最速ではなくなったのは、勝ちに行く競馬をすべく早めに動いたから。何ら悲観する必要はない。
後方一気の桜花賞、前が壁になっても突き抜けたオークス、そして横綱相撲で押し切ったこの秋華賞と、三冠それぞれで異なる強さを見せてきた。
コントレイルとの対戦も「負けたくない」
これからは、同世代の牡馬で今週無敗の三冠制覇を狙うコントレイル、そのライバルのサリオス、先代牝馬三冠馬アーモンドアイ、宝塚記念を圧勝したクロノジェネシスといった強豪たちとの対戦が控えている。
「ここまで無敗で来ていますので、できればこのまま負けたくないと思います。これからもいいレースを見せられるよう頑張ります」と松山。
また、この秋華賞のひとつ前の京都第10レースの大原ステークスを、秋華賞を除外されたレイパパレ(父ディープインパクト、栗東・高野友和厩舎)が圧勝し、戦績を4戦4勝とした。秋華賞に出ていたら手ごわかったであろう、この馬との対決も楽しみだ。
限定的とはいえ、事前に指定席券を持ったファンが入場できるようになったり、表彰式が再開されたりと、中央競馬は少しずつ平時の姿を取り戻そうとしている。
デアリングタクトの素晴らしい走りを、数万、十数万のファンが詰めかけた競馬場で見られる日が一日も早く来るよう、祈りたい。