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引退した内田篤人は19歳久保建英をどう見ている?「久保くんは、王様のようにプレーしていた」
posted2020/10/21 17:03
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Asami Enomoto
北京五輪と、2度のW杯をともに戦った岡崎慎司は、盟友・内田篤人の“観察力”をこう評している。
「ウッチーは目に見えるものだけじゃなくて、その奥に秘められたキャラクターや心情、本質まで見通しているんだと思い知りました。もちろん甘さも。(中略)内田篤人という男は普通じゃない。いつも冷静に見透かしているようなヤツだから、気が抜けません」(Number PLUS内田篤人引退特別号)
仲間と相手の特徴を見抜き、自チームが勝利するために最適な手段を選択する。そうやって、名門シャルケで7シーズンもプレーし、チャンピオンズリーグではベスト4を経験した。Number PLUS「欧州蹴球名鑑2020-2021」では、8月に現役を引退したばかりの彼に、欧州で奮闘する日本人選手たちの本質を“見透かして”もらった。
「Jリーグに移籍金を残して行くべき」
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まず確認したかったのが、近年の欧州組の増加傾向について。ここ数シーズン、20代前半のJリーガーが続々と海を渡っている。
「ヨーロッパへ移籍するのなら、Jリーグでしっかり活躍して、クラブに移籍金を残して行くべき」
これは現役時代から、内田が語り続けている欧州移籍の心得だ。この考えは、今も変わっていない。
「それは僕の持論ですし、本音です。ただし、移籍金が発生しなくても“俺は海外でやるんだ”“サッカー人生を棒に振ってでもチャレンジするんだ”と考えるのは自由です。『内田篤人がこう言っているからやめよう』と思うくらいなら、最初から海外移籍なんてやめた方がいい。本気で行きたいヤツは、行きゃあいいんです」
欧州に「行く」ことよりも、「行った後」が大事。総勢50人近い欧州組のリストを見ながら、こう語り始めた。
「僕が知らない選手もたくさんいますね。みんな頑張ってるんだよ。言葉も、文化も違う。生活するだけで大変なんだから。でも、ヨーロッパでは“活躍する”ことより、“活躍し続ける”ことが難しいんです。むこうのクラブは資金も豊富な分、少しでもダメな時期があると、すぐに同じポジションの選手を補強しちゃうから。結局、選手を補強されても活躍し続けるには、根性が大事なんですよ」