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藤井聡太二冠にそびえる豊島将之竜王の壁 衝撃の逆転負けと“貴族”が語った「評価値ディストピア」
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2020/10/06 13:30
王将戦リーグ戦は豊島将之竜王が逆転勝利。藤井聡太二冠は連敗スタートとなった(別日撮影)
第70期王将戦の挑戦者決定リーグ2回戦、豊島将之竜王(叡王と合わせて二冠=30)と藤井聡太二冠(王位・棋聖=18)の対局は、終盤の逆転劇によって豊島竜王が勝利し、リーグ戦連勝を飾った。
一方で藤井二冠は豊島竜王相手にまたしても敗戦し、通算対戦成績が6戦全敗に。また同リーグ戦でも「三冠」挑戦が厳しくなる連敗となった。
戦型は「相掛かり」で進んだ今局、衝撃的な終盤戦となった。一時は藤井二冠が寄せの過程に入り、豊島竜王相手の初勝利が確実かと思われた。
豊川七段「秒読みは魔物なんですよね」
しかし藤井二冠が勝機を逃すと、対局を中継した「囲碁将棋チャンネル」のAIによる評価値は豊島竜王、藤井二冠が一手指すたびに大きく揺れ動く状態に。両者持ち時間が限られる中で将棋の難しさを凝縮した大激闘になった。
この対局を解説し、数々の“オヤジギャグ”で将棋ファンから愛される豊川孝弘七段が「秒読みは魔物なんですよね」とつぶやいたひと言は棋士としての実感がこもったものだった。
最後は豊島竜王が辛抱強く自玉を守り、藤井二冠の攻めをかわして勝利をもぎ取った。藤井二冠はまたしても“豊島竜王の壁”を超えられなかったものの、171手の攻防には数多くのファンが固唾を呑んで見守ったことだろう。