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「久保建英をバルサから横取りできて、レアルは鼻高々」地元紙記者が語った移籍の真相
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byGetty Images
posted2020/09/30 18:00
コパ・アメリカでも活躍した久保建英。リーガ1年目はマジョルカで結果を残し、2年目はビジャレアルで飛躍となるか
バルサが泣く泣く手放した真相
――マドリーがバルセロナなど他クラブを出し抜くことができた理由は?
「条件面と入団後の処遇だ。マドリーとバルセロナのどちらに入ろうと、当面、クボはBチームでプレーすることになる。バルセロナは、年俸がBチームの選手としての上限の25万ユーロ(約3050万円)で、最初の2年間、Bチームでプレーすることを求めた。
一方、マドリーには年俸の上限はない。手取りで年俸120万ユーロ(約1億5000万円)、税金を含めると総額200万ユーロ(約2億4000万円)の5年契約を提示した。クボのFC東京との契約は彼が18歳の誕生日を迎えた6月4日で満了しており、移籍金はゼロ。マドリーにとっては極めてお得な買い物だった。そして、Bチームでプレーするのは1年間だ」
――バルセロナがレアルと同程度の条件を出せなかった理由は?
「もちろん、金がないわけじゃない。ただ、クボに例外を認めたら、他選手から文句が出る。組織を守るため、涙を飲んでクボを諦めたのだろう」
――マドリーの場合、「入団後1年間はBチーム」というのは絶対的な決まりか?
「いや、必ずしもそうではない。昨夏に18歳で入団したブラジル人FWヴィニシウスは、Bチームで5試合出場しただけで違いを見せつけ(2018-19シーズンは通算4得点)、すぐトップチームに上がり、ほどなくレギュラーになった」
――現実的に考えて、来季、トップでプレーする可能性はあるのか?
「それはない。3人の外国人枠がすでにブラジル代表MFのカゼミーロらで埋まっているし、ベルギー代表エデン・アザールらを獲得して来季の攻撃陣は非常に層が厚い。二重の意味で無理だ」
――それでは、久保はいつ頃トップチームでプレーできると思うか?
「3年以内と予想している」
――入団直後、マドリーが彼を欧州の他クラブへ貸し出す可能性は?
「それはないだろう。クラブは、まず手元において彼のプレーと人間性を観察したいはず。他クラブからは期限付き移籍の依頼が殺到するだろうけどね。来季、カスティージャ(Bチーム)の監督を務めるのはラウール・ゴンサレス(1994年から2010年までマドリーでプレーしてリーグ通算228得点、スペイン代表でも44得点のレジェンド)。彼が成長するには最高の環境だろう」(編集註:その後マジョルカへと期限付き移籍)