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日本ラグビーの“大学文化”と代表の新旧交代 期待は明治大の「普通でない人」や頑丈な慶大の…
posted2020/09/24 17:00
text by
藤島大Dai Fujishima
photograph by
Takuya Sugiyama
オーストラリアの国内コンペティション「スーパーラグビーAU」でファイナル進出を果たしたレッズは若い。ベンチを含めて23人のメンバーのうち11人が22歳以下であった。
9月19日。敵地キャンベラにおいてブランビーズに23-28で敗れて優勝を逃した。
勢い余った反則の多発で突き放され、疲れ知らずの勢いで追い上げた。若いからトロフィーに届かず、若いからトロフィーのすぐ近くまでこられた。
22歳のキャプテン、6番のリアム・ライト、気鋭の7番、21歳のフレイザー・マクライト、痛覚がないかのような突破を繰り返す8番、20歳のハリー・ウィルソンはそろってオーストラリア代表ワラビーズの計44人のスコッドに呼ばれた。
20歳の万能バックス、ジョーダン・ペタイア、強気の9番、22歳のテイト・マクダーモット、こちらも22歳、13番のハンター・パイサミもレッズから同スコッドに入っている。
ワラビーズには、他チームからも19歳のプロップのアンガス・ベル(ワラターズ)や才気をたたえる背番号10、20歳のノア・ロレシオ(ブランビーズ)、同じポジションを争う21歳、ウィル・ハリソン(ワラターズ)らも名を連ねる。スコッド全体の平均年齢は24歳だ。
そこで気になるのはジャパンである。年内の活動はなくなったものの、やがて始動するとき、新進の名前はどのくらい加わるのだろうか。
名将・大西鐵之祐の最後の言葉
ワールドカップ後の代表の「新旧交代」は常だ。
四半世紀前、1995年の南アフリカ大会の日本代表はオールブラックスに145失点を喫した。
どう再起するのか。忘れもせぬ同年9月14日、往時の名将、大西鐵之祐さんの都内の自宅を訪ねて聞いた。寄せ集めでない本物のジャパンを最初につくった人は言った。
「芯に使っていく選手は残してもいいが、あとは新しい人間を仕込んで蓄積しておいて、戦法に応じて選ぶべきでしょう」
79歳。この5日後に世を去った。インタビューのそれが最後の言葉だった。前提に「日本人は負け慣れたら無力だ」という実感があった。
2019年のジャパンは自国開催のワールドカップで世界8強へ進んだ。もはや「負け慣れ」てはいない。
それでも3年後、7年後の大会へ向けて、あの日の大西鐵之祐語録を引けば「ワールドカップに出て勝つというなら段階をつくりあげなくてはあかん」。
若き才能を見抜き、大胆かつ細心に機会を与えながら途切れぬ人材の層を積み上げる。そうでなくては衰退の渦にからめとられてしまう。
では、だれがふさわしいのか。現況では才能のソースは大学にある。