進取の将棋BACK NUMBER
「羽生さん、藤井さん以外もぜひ注目を」中村太地七段が語る王将戦リーグ、超一流棋士の魅力
posted2020/09/21 11:40
text by
中村太地Taichi Nakamura
photograph by
Kyodo News
王将戦はとても歴史あるタイトル戦で、今期70期を迎えます。システムとしてとても特徴的なのは「挑戦者決定リーグ戦」の存在です。このリーグ戦に参加できる人数が7人で、非常に狭き門。必然的にトップ・オブ・トップの棋士しか入れないのですが、そこでの挑戦権争いは熾烈を極めます。
他の棋戦と比較すると、表現は難しいのですが、例えば順位戦だとC級2組、C級1組、B級2組、B級1組、A級……とピラミッド制になっており、1期ずつ昇降格がある中で頂点を目指していく仕組みです。一方で王将リーグ戦は若手で凄く勢いがある人が参戦してくる可能性を持ち合わせています。
つまりその年度において、特に強さを見せている人たちが集結してくるリーグなのです。そのため王将戦の挑戦者決定リーグ戦は1局1局本当に目が離せない対局が続きますし、若手棋士にもチャンスがあるという意味において、非常に興味深いリーグです。
「1勝挙げるだけ」でも大変なレベル
迎える今期のリーグ戦ですが、広瀬章人八段、豊島将之竜王、藤井聡太二冠、羽生善治九段、永瀬拓矢二冠、木村一基九段、佐藤天彦九段が登場します。いやあ、こうやって名前をあげるだけで、私ですら少し興奮してしまう……とてつもないメンバーが揃いました(笑)。「ここに入ったら、1勝挙げるだけでも大変だぞ」と思うレベルのトップ棋士になります。
開幕戦となる羽生先生と藤井さんの対局は将棋界きってのスター同士の対決なので、すでに世間の方々にも喩える必要性がないかと思いますが、イチローさんと大谷翔平選手が対決する――となれば、多くの人々が注目しますよね。
もちろんお二方以外も、ものすごい実力者です。それこそ田中将大投手やダルビッシュ有投手、筒香嘉智選手や坂本勇人選手といったスター選手を選抜して、それぞれ真剣勝負を繰り広げる……と説明すれば野球好きの方により一層、分かっていただけるでしょうか(笑)。