話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
18年半続いた『やべっちF.C.』が終了 貢献度はMVP級! 選手に愛された2つの理由
posted2020/09/14 17:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
TV asahi
『やべっちF.C.』(テレビ朝日)が9月27日で終了することになった。
2002年から18年半続く番組の終了が報道されたのは7月だった。その際、多くのサッカー選手がSNS上でツイートし、番組存続を願った。そして今回、正式に番組終了が発表され、惜しむ声がサッカー界やファンから広がった。
サッカー選手にとって『徹子の部屋』のような存在だった
槙野智章は「寂しいなぁ…でも感謝しかない! この番組を見てサッカー選手になりたいと思った。この番組に出たいと思って頑張った! この番組のお陰で成長できた! 本当にありがとうございました」と感謝の言葉を述べ、中村憲剛は「プロになった時『やべっちF.C.』に取り上げてもらうことが目標でした。矢部さん、スタッフのみなさん本当にお疲れ様でした!!」とねぎらいの言葉を贈っている。それだけ、彼ら現役のプロサッカー選手を始め、多くのサッカー選手やサッカーファンが『やべっちF.C.』を楽しみにしており、その番組を見て育ってきたことが分かる。
「やべっちF.C.に出たい」
現に、そう語るサッカー選手が非常に多かった。『やべっちF.C.』はサッカー選手にとって報道番組とは異なり、一度は出演したい番組であり、サッカー選手にとっては『徹子の部屋』のような存在だった。
MC・矢部浩之が貫いた、選手へのリスペクトとサッカー愛
それは、矢部浩之さんのキャラクターに因るところがすごく大きかったと思う。
矢部さんは「お笑い芸人」として成功し、その業界では大物的な存在であるが、以前取材をした番組のプロデューサーを長年務めているテレ朝・中野達朗氏は「決して出しゃばらない、バランス感覚に優れた人」と語っていた。スタジオはもちろん、ロケでも選手に対していつも気遣いを怠らない。自身がサッカーをしていたこともあり、「サッカーでプロになるのはすごいこと」と、サッカー選手をリスペクトする姿勢を終始貫いた。それが選手に伝わったのだろう。「試合後のミックスゾーンに矢部さんが立つと選手が来てくれる」とも、中野氏は語っていた。
出演した選手たちも矢部さんにイジられると、みなちょっとうれしそうな表情を浮かべていたのも印象的だ。サッカー選手に芸人みたいなことをさせるなという声もあったが、ここまでMCとサッカー選手が深い信頼関係で結ばれた番組は記憶にない。